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「ぶる、く……ごめっ…ごめ…ね…」
「なんでAが謝るの」
「わたし…こんな、で……めいわく…」
「迷惑なんかじゃないよ。Aのこと大好きだからしてるんだよ。僕の方こそ不甲斐なくてごめんね…？」
Aが、返事代わりにぶんぶんと首を横に振る。何か喋ろうと口をぱくぱくしているけれど、咳き込んでしまって、上手く話せなさそうだった。慌ててAの背をとんとんと叩き、ゆっくりでいいよ、と声をかける。
数分かけて息を整えて、Aはぽつりぽつりと話し始めた。
「…ぶるーく、私が急に発作を起こすかもしれないのに、付き合ってくれて……それに、毎日私のことベッドまで運んでくれてるでしょう？」
「うん…」
「毎朝起きてから、罪悪感でいっぱいなの。配信で疲れてるのに、手間かけさせちゃうから。こんなリスクがある彼女、いらないよね」
「いや、やだっ！」
自分でもびっくりするくらい大きな声をあげてしまい、Aもぱちぱちと瞬きをする。
「ぼく、僕ね、初めて一目惚れした。信じられないくらいAが好きで、寝れないこと話してくれた時も、すっごく嬉しくて、だから…だから、そんなこと言わないでよ…」
言葉がぐちゃぐちゃしてしまって、上手く伝わらない。それでも、Aが、自分はいらないと考えてしまっていることがたまらなく苦しくて、口は勝手に動いていた。
そんな僕を見たAが、優しく微笑んで、僕の頬に手を伸ばす。そっと目元に指があてがわれて、彼女は言った。
「ぶるーく、泣かないで…？」
「え…？僕？」
目元を拭う彼女の指は濡れていて、そこで初めて僕が涙を流していることに気づいた。慌てて両目を擦り、Aに顔を見られないようにハグをする。
「うそぉ…やだ、見ないで…」
「わんちゃんみたい」
「僕かっこいい彼氏になりたいんだけど…」
「可愛いぶるーくも大好きだよ」
ああ、まただ。また、彼女の強かさに甘えている。僕が守りたいのに。僕は、ずっと彼女に愛でられてばかりだ。
「ねえ」
「なあに？」
「…僕、Aの隣にずっといるよ。怖いことも、苦しいこともしない。頼りないかもしれないけど、これからも、Aの彼氏でいさせてほしい…な？」
「…ふふ、なにそれ。当たり前じゃん」
Aが、ぽんぽんと僕の頭を撫でる。僕の大好きな笑顔で、僕だけを見て、彼女は口を開いた。
「私、もうとっくに、ぶるーくがいないと生きていけないよ」
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作者名：ピースラワー | 作成日時：2024年4月14日 19時
