天上の歌声は空回り

その瞳は空虚を見つめる ページ20

『…』



Aはさっきから目を見開いてじっと足元を見つめている



｢っA？｣



『…っ』



｢A。…一緒に来てくれるね？｣



『…』ｺｸﾝ



｢っなんで！！！行くなよ！！｣



『…二郎』



もう関わらないで。



ただ一言。



一言だけで充分だった



『行きましょう。』



｢素直な子は好きだよ｣ﾆｺｯ



ﾎﾟﾝﾎﾟﾝと柔らかく頭を撫でる




｢っなんで。｣



その場に崩れ落ちる



なんで、関わらないでって言ってんのに、



なんで泣いてんだよ。A。



車に乗り込んだ瞬間我慢していたものが溢れてくる



『…っごめんなさい、』



｢あっちの思い出は消そうか。｣



｢ショックだよね〜流石にあんなこと言ったら｣



『…』




｢俺の言うこと、聞かないとあの三人がどうなるか分かってるよね？｣ﾆｺｯ



私の膝の上にばら撒かれる三人の盗撮写真



それは暗にいつでも行動できるということを示していた



『…はい。』




｢素直でいい子だね｣



ﾁｭｯ



隼颯の赤い舌が入ってくる



『…ん、』



気持ち悪い



『…っいや、ぁ』



｢嫌がるな｣



『…ふ、ぁ、』ﾋﾞｸｯ



怖い、嫌だ、怖い、嫌だ。



｢涙、出てきたね。｣



｢…まぁ、今日はこれくらいで｣ﾆｺｯ



誰か、誰か助けてください。

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