一月で惚れさせてください 弐 【鬼滅の刃】

第弐拾日目 朝【伊黒小芭内】 ページ30

伊黒小芭内





『…ん、朝か』



そういえば今日は何日だっけ



七月二十日



『あと十一日か。』



気持ちの整理をつけなければ



｢Aいるか？｣



『え！？あ、はい！』



｢どうかしたか、そんなに慌てて。｣



『いや、寝起きだったので』



｢…ﾌｯ お前、髪の毛が逆立っているぞ？｣



私の髪の毛を一束取ると可笑しそうに笑う伊黒さん



『え、』



｢どうした？｣



『いや、なんでも』



こんなに綺麗に笑顔を見せられるとﾄﾞｷｯとする



｢…まぁ、身だしなみはしっかりと整えろ。柱なのだから下のものに舐められないようにしなければならないだろう。｣



『へーい』



｢今日は俺がやる。お前はここに座れ｣



『え？出来るんですか？』



｢当たり前だろう｣



何で当たり前なんだよ笑



慣れた手つきで髪の毛に櫛を通す



どんどん美しくなっていく髪の毛



優しく壊れ物を扱うように髪をといてくれる



『…なんかありました？伊黒さん』



ﾋﾟﾀｯと動きが止まった



｢…｣



珍しく黙っている



背中合わせになり伊黒さんは喋り始める



｢俺は、他のものとは違い力も弱い。口には包帯を巻いているし、言葉遣いもいいとは言えない。｣



｢だが、お前を守ると約束する。｣



『え？』



｢俺は明日も明後日も、お前の隣で笑っていたい。｣



『え、どうしたんですか。急に』



すると少し迷ったように言う伊黒さん



｢…昨夜悪い夢を見た。｣



｢お前が俺の、…いや、俺たちの前から姿を消す夢だ。｣



苦しそうな声色で言う。



『いなくなるわけないじゃないですか』



『私はずっと、天命が尽きるまで鬼殺隊にいます。』



『ま、楽しいですしね。ここ』



｢…ﾌｯ 分かっているがな。｣



『なんですか。そんなに私がいないと寂しいですか？？』



そう言って振り向くと左右で色が違う瞳が近くにある



｢あぁ。…寂しい。｣



『…へ、』



こういう時だけ素直だな。



｢口付けしてもいいか。｣



いいかと聞いてはいるが有無を言わせぬものがある



首を少し縦に振れば、口元の包帯をとる



｢目をつむれ｣



｢まぁ、見たいのなら開けててもいいがな。｣



『無、無理！』



優しく、触れるだけの口付け



意外に思って思わず目を開けると



｢驚いたか？｣ﾆﾔｯ



悪そうな顔がいる



『…帰れー！！！！！』



｢俺きは任務があるので言われなくても帰る。｣

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