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幸せが壊れるのは、いつも幸せな時だった。
「里香と憂太は大人になったら結婚するの」
「───っうん! いいよ。今度こそ、」
「今度こそ…?」
「…?? あれ、僕…」
「変な憂太っ。でも、約束だよ」
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「憂太っ…待って!」
「里香ちゃん!!」
いつも通り、僕は里香ちゃんと学校に行っていたはずなのに突然宙に現れた黒い空間から見たことない生き物が現れて建物や人を襲い始めた。
こんな惨状を見たことないはずなのに、これ以上の惨状を知っている気がしてならない。
僕は里香ちゃんの手を強く握り、離れないよう手を引く。
そしてあの生き物から隠れられそうな所に身を隠す。
色んな場所から沢山の叫び声が聞こえてくる。
痛いと叫ぶ声、人を探す声、助けを求める声。
悲痛な声が耳に入る。
「怖い、怖いよ…ゆうた」
「大丈夫…大丈夫だよ、里香ちゃんっ…」
僕は里香ちゃんを守るように抱き寄せる。
こんな時に呪力が────、ジュリョクってなんだ?
ふと、よく分からない言葉が出てきた。
でも、今はそんなことよりどうやって生き残るか考えないと────
「ゆっ、憂太!」
「えっ…」
里香ちゃんの声にバッと顔を上げると目の前に蜘蛛のような形をしたあの生き物がいた。
逃げないと…!
本能がそう叫び、僕は里香ちゃんの手を引いて無駄な抵抗だと思いながらも石を投げて抵抗して逃げる。
「ゆうた…里香、もう…はしれない」
「!!」
里香ちゃんが力が抜けたようにその場に座ってしまう。
それと同時に僕もしゃがみこみ、里香ちゃんに声をかける。
そして後ろから向かってきている生き物。
どうしよう、どうしよう、どうしよう、と考えていると里香ちゃんが口を開いた。
「憂太、小指立てて」
「里香ちゃん…? なにを、」
里香ちゃんは僕の小指を無理やり自分の小指と結びつける。
「…これからもずっと、一緒だよ」
「里香ちゃ…!!」
その瞬間、ピカッとその場が光った。
それと同時に脳内に、前世の記憶が蘇った。
全部…あの時から始まった僕の人生。
「ごめん……ごめんっ、里香ちゃん…!!」
また、君を守れなかった。
また、助けられなかった。
僕が…無力だったせいで…でももう君を呪わない。呪いにさせない。
そしてその場に遺された一つの指輪。
里香ちゃんが指輪となったもの。
「絶対に…君を助ける」
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まどか(プロフ) - この話しとても好きです更新頑張ってください! (2022年7月21日 22時) (レス) id: 6844013028 (このIDを非表示/違反報告)
海百合クラゲ(プロフ) - え、どうしよう、好き (2022年3月8日 12時) (レス) @page25 id: a38a157b30 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 続きが気になりすぎて禿げそうです。(?)更新楽しみにしてますー! (2022年2月23日 17時) (レス) @page21 id: 18a64d9079 (このIDを非表示/違反報告)
1+5=いちごだよ - 憂太が主人公の作品を探してました!めっちゃ好きです!!更新頑張ってください!! (2022年2月20日 11時) (レス) id: b666961d78 (このIDを非表示/違反報告)
水泳進化人(プロフ) - 単純に好きです。 (2022年2月19日 1時) (レス) @page10 id: 30ca69ad2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊馬雄里 | 作者ホームページ:https://twitter.com/Yuri_Asum
作成日時:2022年2月17日 14時