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夜と昼の温度差がほとんど無くなる
アブラゼミの声が鼓膜に響き始めた時
傷口も安定して、無くなった左腕はニセモノの温度のない腕になった
「義手をつけてみた感想は?」
担当の医師はメガネをかけたアンパンマンを思わせる風貌でニコニコと優しげに聴いてきた
「鉄の塊を付けている、って感じですかね」
その答えに白衣を着たアンパンマンは笑った
「うーん、最初はそんな感じだよね。訓練していけば自分の手のように使うことが出来るようになる人もいるし一緒に頑張ろうか」
「......はい」
動く気配のない左腕はただ重たいだけで自分も憂鬱になる
それは部屋にひとりになっても続いた
『貴方にはもう捜査官なんて無理よ』
隣のスツールに座った子供が喋った
「......五月蝿い」
『彼の足を引っ張るだけだわ』
「......五月蝿い、!」
『やめるべきだわ、貴方は捜査官の資格なん、』
そこまで言って子供の声が消える
ふと伸びた右腕をたどると
自分の右手が子供の細い首にかけられている
その事実に驚いて右手を離すと、後に残ったのは鬱血痕
手のひらの形がハンコのように押されていた
『ほら、それだよ化物』
ハイライトのない目で子供が笑う
『人殺しのお前に人間は救えないわ』
重たい左腕と震える右手は同じ温度のように冷えきっていた
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みなも(プロフ) - コメントありがとうございます!!頑張ります! (2016年8月6日 10時) (レス) id: ce51c230b3 (このIDを非表示/違反報告)
双子よ~ - 面白い!更新ガンバ (2016年8月5日 0時) (レス) id: f8c2c9f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
みなも(プロフ) - あやかさんコメントありがとうございます!!これからまた更新していくのでよろしくお願いします! (2016年7月17日 23時) (レス) id: ce51c230b3 (このIDを非表示/違反報告)
みなも(プロフ) - ナイトさん、コメントありがとうございます!!更新出来ずすみません、これからまたなんとか頑張ります! (2016年7月17日 23時) (レス) id: ce51c230b3 (このIDを非表示/違反報告)
みなも(プロフ) - Seaさん、コメントありがとうございます!!頑張ります! (2016年7月17日 23時) (レス) id: ce51c230b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫苑 | 作成日時:2016年2月8日 20時