【東京喰種:re】 君に幸あれ 『伊東倉元』

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空を切り取ったような空間を泳いでいる色とりどりの魚



ゆらゆらと揺れる水面の明かりが空間の底や魚を照らしていた



その前には背もたれのない３人ほど座れるベンチ



私はその真ん中に座っている



｢あれ、なんだかわかる？｣



隣にいる小さな子供が水槽を指さした
その指さすものが何か、何故かすぐわかった




｢いわし？｣


｢正解｣



子供が笑う


｢イワシみたいな小魚の群れはどうしてもほかの大きな魚に食べられちゃうんだって｣


大きな魚を描くように群れで行動しているイワシの中をサメが通ると二手に分かれて再び大きな魚となる



｢食べられた分はどうするの｣



青い空間に目をやりながら聞いてみると子供はまた話す



｢新しいイワシを増やすの、食べられた分だけ。そしていつかは見た目は同じの中身は全く違う群れが出来上がる｣



そこで私は初めて子供の顔を見た


子供はこっちを見ていて、楽しそうに、おもちゃで遊んでいる時のように無邪気な笑顔を浮かべていた



｢まるで私達みたいね｣



子供の小さな手が頬を撫でた



｢いつかあなたは消える｣




目を背けることができないまま、子供のハイライトのない瞳を見つめていた




｢所詮、あなたは古いイワシだもの｣

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