【東京喰種:re】 君に幸あれ 『伊東倉元』

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昼間と違って冷めた空気が頬を撫でた


フロッグのアジトへ近づくに連れて、呼吸が苦しくなるのがわかる

クインケが入ったアタッシュケースを握る手に力が入りすぎて、少し伸びた爪がくい込んでいるのに気付き緩める

これを繰り返す








｢.........は、鳩!!？｣


フロッグのものと思われる声が聞こえてきて意識がそちらに引っ張られる

前を見れば、既にその姿は見えない




『これより、作戦を開始する』





宇井特等の声により皆が一斉にクインケを展開させて、切りかかっていく



伊東班もそれに続いて行く



訓練でやった手順を頭で追いながらカーポで次々と出てくるフロッグを切りつける

上がっていく体温とは反対に冷めていく思考






不意に横からフロッグのひとりが飛び出し、赫子が自分に向かってくる




｢っっっっぐっぅ!!｣




ぎりぎりのところで止めるが、力はあちらの方が上で肩にクインケがくいこみ熱くなる


耐えられず、吹っ飛ばされ壁に激突してしまった



その衝撃で呼吸が乱れて思わず咳き込む





｢A!!｣





班長の声が聞こえた気がしたがそれどころではなかった



私を吹っ飛ばした喰種の赫子がこちらに向かってくる

それを身を翻してなんとかかわすがとどまることなく攻撃が飛んできた

避けきれない、そう感じた瞬間強い力が自分を引っ張り赫子に貫かれそうになるのを防いだ



｢あ...、あ、ありがとうございます｣



自分を引っ張った黒磐さんにお礼をいって、クインケを握り直し攻撃してきた喰種を見やる



蛙のマスクと黒いフード付きの長いコート
背後でうねる赫子




その後にはかなりの数のフロッグ





｢.........、人間ごときが......｣




一番手前の喰種がつぶやいた言葉はまるで、呪詛のようで

背筋が氷水にさらされたように、ぞっとした




｢やれ｣





それを合図に、フロッグが次々と飛びかかってきた

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