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川西side

あの子が急におらんくなった。

最初は体調でも崩したのかぐらいにしか思っていなかったが

次の週も

その次の週も

俺の目の前に現れなくなった

毎週金曜日にいたあの子。

辞めたんやろか。

やっぱり勘違いやったか。

色々思いは浮かぶけど、結局たどり着くのは

川西「だらだらせんと、話しかければよかった。」

あの子との金曜日は毎週来るもんやと甘えていた。

これが何を表しているのかはまだ分からない。

でも、またあの子に会いたい。

今度は意地悪せんと、ちゃんと話してみたい。

しかし、俺にはあとちょっとの勇気が足りなくて

自然とコンビニに行くことを控えるようになった。

そんなこんなで迎えたクリスマス・イブ。

家に帰る途中で気づいた煙草切れ。

目の前にはあのコンビニ。

そして今日は金曜日。

川西「あの子がいなかったら、もうここのコンビニには行かんでおこう。」

そう呟いて、店内に入った。

店には…

ﾄﾞﾝｯ!!ｶﾞｼｬｶﾞｼｬﾝ!!!!

あの時と同じ誰かが崩れ落ちる音。

『いらっしゃいませ…』

あの時とは違う俺の鼓動。

川西「すいません、〇〇番ください。」

『はい…520円になります。』

川西「はい。」

『520円ちょうど…「じゃないです。」

『え？』

川西「ちょうどじゃないです。」

そう言って、この日までずっと渡せないでいた紙を出す。

『えっと…あの！こ、これは…』

川西「おつりは…？」

そう言うと恐る恐る紙を見た君。

人間は本当に驚くと声も出なくなると言うけど、

今回は声を出してもらわないと困る。

どうしても君のことが知りたいんや。

毎週金曜日の君のことも。

金曜以外の君のことも。

『おつりになります…』

そう言って出されたのは、レシート1枚。

・

・

・

と、スマホの画面に映し出されたLINEのQR。

川西「ええの？」

『こんな大金渡されちゃったら、おつりに困ります笑』

そう言って笑って見せた君を俺は一生忘れない。

"金曜以外もお会いしたいです。

これ電話番号です。

080～～～～

川西賢志郎"

"次は驚かずに会えるように約束して会いたいです。

A"