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Aside

コンビニでバイトをしているごくごく普通の大学院生。

だったはずなのだが、そのバイト先で毎週金曜になると密かに推している芸人さんである和牛の川西さんが来るのだ。

本人は無自覚でやっているのだろうけど、

品出しをしていたら必ず横に来たり…

レジの時はずっとこっちを見てきたりとこちとら毎週寿命が縮まりそうになる。

とはいえ、相手は芸能人。

そしてプライベートの時間。

そんな時にあからさまにファンの奴が居ると不快だろう。

そう思って、最大限の気づいてないふりをしている…

つもり。

それでも良かった。

毎週金曜日はちょっとメイクに気合いを入れてみた。

別にどうなるわけでもないけど。

そんなある日、

『37.8度…』

熱が出た。

よりによって金曜日。

最悪だ。

でも、しょうがない。

きっと神様がこれ以上はダメだと言ってる。
そう思った。

これ以上、会ってしまうと
芸能人への好きじゃなくなってしまう。

それは何となく直感で分かっていた。

潮時だ。

毎週金曜に終わりを。

足してしまった日々を消そう。

A店長。すいません。

A熱出たんでお休みします。

Aあと急な話で申し訳ないのですが、シフト変えてください。

これでいい。

これでいいんだ。

それからは1回も川西さんとは会ってない。

別に寂しくなんてない。

悲しくもない。

ちょっと心に空きが出ただけ。

ちょっと前の日々に戻っただけ。