140話 ページ45
意味もわからず追い出されたのだから行く必要などないけれど、放っておけない性分でムルの家に足を運んだ。
「来ましたよ」
「シャイロック」
「おや、なんです？どこか行くんですか？」
昨日とは違い外出用の服に身をまとっている。
そういえば最近ムルはあまり家にいない。
どこへ行っているのやら。
「ここでお別れだ、シャイロック」
「………はい？」
煮詰めたキャラメルを食べたような顔をしてムルは呟いた。
お別れ？何の話？どこに行くと言うのか。
「君と過ごした時間は楽しかった。これからはお互いに忘れて生きていこう」
「なにを…言っているんです？ムル、あなた…」
「俺はこの家を去る。やらなくてはいけないことが出来た。その子を傍で守ることに決めた。だから、」
「ちょっと…お待ちなさい…」
守る？ムルが？
自分のことしか考えてない貴方が誰を？
私を試してらっしゃるのですか？
私の知っているムルは他人のために動かない。
こんなの貴方らしくない。
「どこへ行くんです、誰を守ると？いえ、そもそもあなたが？守る前に知識欲に駆られて周りを壊すのをお止めなさい！あなたの研究でどれだけの魔法使いが住処を奪われたと思っているんですか！？」
「……悪かった、シャイロック」
「待ちなさいと言ってるでしょう！ムル！…待ちなさい……っ、」
一言呟いてムルは出ていった。
あなたが謝るなんてらしくない。
誰だろう、いま私の横を通り抜けていったムルは。
あまりにも悔しくてやるせなくてその日はムルの家から動けなかった。
「…なのに、です。ムルはその日の夜に帰ってきました」
「は？」
「問い詰めましたがその日私に会った記憶が無いと、それ以前の記憶も所々なく話にならなかったのでこの件について話題に出すのはやめていたんです」
そしたら忘れてました。
とシャイロックが笑う。
その日が魔法を使った日なら？
ムルはきっと王宮に足を運んだはず。
「なんでそれ早く言わないんだ」
「忘れていたと言ったでしょう？ムルが突拍子もない発言をして謎の行動をするなんていつもの事です。いちいち覚えてるわけないでしょう」
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灯油マン(プロフ) - るゆさん» ありがとうございます！早起きですね！4もありますよ！ (2021年12月5日 8時) (
レス) @page50 id: 3428c02407 (このIDを非表示/違反報告)
るゆ - 3終わりましたね……めっちゃやばかったです、過去編が楽しみすぎる。4が出るのを楽しみに待ってます！ (2021年12月5日 7時) (レス) @page50 id: 360678e429 (このIDを非表示/違反報告)
灯油マン(プロフ) - るゆさん» ありがとうございます！面白いと思い続けて貰えるように頑張ります！！ (2021年11月30日 12時) (レス) id: 3428c02407 (このIDを非表示/違反報告)
るゆ - 灯油マンさん» いえいえ！こちらこそ、語彙力がないので上手く感想を口にすることが出来ないんですけど、読んだら感想を言いたくなるお話なので… (2021年11月30日 5時) (レス) id: 360678e429 (このIDを非表示/違反報告)
灯油マン(プロフ) - るゆさん» お久しぶりです！！ありがとうございます。わたしもなかなか更新できてませんでしたので！いつも本当にありがとうございます。 (2021年11月29日 9時) (レス) @page2 id: 3428c02407 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯油マン | 作成日時：2021年8月1日 11時
