#私の仕事とは ページ5
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カタカタという硬質な音が響く。話す声、紙をめくる音、コピー機の合図が交錯するオフィスで、私はパソコンと向き合っていた。
横浜の一角にあるビル。その4階、一室が私の働いているオフィスである。ここは若い人が多く、平均年齢は30歳前後らしい。そのせいか、それぞれのディスクは若々しさがあり、働いている人の私服は皆流行に則ってお洒落だ。
「小椋、明日の午前からの会議の書類、準備出来てる?」
「はい、あー…これです、このファイルに全て」
上司に声をかけられてディスク内にあるファイルを軽く漁る。ファイルを渡すと多いな、と笑いながら礼を言われる。
この職場は比較的楽だ。
仕事が楽なわけじゃない。パソコンと一日中向き合うこともあれば、営業で外を歩き回る時もある。残業だってあるし、仕事自体は楽なものでは無い。でも上司は温厚で同僚は優しく部下は可愛い。働くことが苦じゃない職場だ。
今どきはブラック企業も多い事だし、特に文句もない。
しかし、この職場は案外、仕事関係以外の電話が来ても断らない。余程長話だったり、忙しい時でない限り、電話は繋がれる。
きっと普通に働いていたら良いことなのかもしれない。
しかし私にとっては唯一の嫌なことである。なぜか。それは、
「小椋さーん、電話〜」
「誰からですか??」
「えーと、いるまさん?から!」
あいつに職場が割れているからである。
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作者名:葵 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/musou/
作成日時:2018年12月19日 20時