九条の貴婦人Ⅱ (ページ30)

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翌日、風舞と桐先の対戦に他校の選手たちは注目していた。2巡目までは1本差で風舞がリードしていたが3巡目から桐先の気が変わった

桐先が3巡目で全員的中し両校12中。4巡目は風舞も桐先も全射的中し、計17中の同中競射となった

中てたり外したりの競射でハラハラする。藤原が中てて射場に立つのは鳴宮だけだ。そして鳴宮の弦音に後ろに座っていた小野木たち4人はハッとする

競射1回目、両校3中で2回目が始まるが準決勝進出の手綱を握るのは落の2人

鳴宮「(今がずっと続けばいい、ずっと弓を引いていたい)」

藤原「(今は……この1射に賭ける)」

同時に放たれる矢はどこに向かうか、看的をじっと見る。すると藤原の方に〇の札、鳴宮の方に×の札が出され勝敗が決まった

「ただ今の結果、風舞高校3中、桐先高校4中……よって、桐先高校の勝ち！……起立！」

退場した鳴宮たちを滝川やAたちが出迎える

滝川「おつかれ、みんなよくやったな」

小野木「マサさん……ッ」

如月「……あー汗かいた。な、かっちゃん」

泣いた痕がある山之内の肩に腕を回していた小野木は滝川の言葉に感極まって涙が出るのを堪える。その様子を見た如月は気を利かせて花沢が抱えていたタオルを掴み、小野木の頭に被せた

山之内「なんかわかったよ、自分がまだまだだってことも」

鳴宮「俺も。でもさ、まだまだって良くない？」

山之内「え？なんで……」

鳴宮「まだまだ上手くなれるってことだし」

如月「ポジティブ～」

滝川「伸びしろが大きいって言い換えることもできるな」

その時鳴宮は握り皮をぎゅっと握る

鳴宮「マサさん、これからももっと教えてよ。俺……俺たちも頑張るから」

山之内「頑張る！」

如月に小突かれた小野木も小さく頷いた

滝川「あぁ。俺だって指導者としてはまだまだだけどな」

竹早「伸びしろが大きいってことじゃないですか？」

滝川「頼りにしてますよ、部長殿」

トミー先生「負うた子に教えられ、という言葉もあるし」

そんな様子を階段から西園寺は見守っていた……