歪め。【宇髄天元】

負ける ページ9

「つーわけで、お前らの担任はこの宇髄先生です。
派手に喜べ！」

神か何かかあんたは。

しかし、言われた通り派手に喜ぶ生徒たち。
この学園の人は基本的にノリが良い。

「んで、こっちの美人が副担任。喜べ！」

『ちょっと、自己紹介くらい自分でするから！』

また喜びだす生徒たちを手で制し、前に立つ。

『ごほん、はじめまして。みなさんの副担任になります。
砂川Aです。よろしくお願いします』

「砂川先生地味ー」

宇髄くんのヤジが飛んでくる。

すると生徒も「地味ー」とか言い始める。

『宇髄先生余計なこと言わないでもらえます？』

「だってつまんねーじゃん。お前らもそう思うよな。
はい砂川先生の負け」

『何で勝負してたんですか』

ああ言えばこう言う宇髄くんと問答していると
生徒たちがくすくす笑いだした。

「漫才みたい」

と一人が言うと、大爆笑になった。

『え、な、なにこれ』

「な？こうやって盛り上げんだよ」

ドヤ顔されるけど、
宇髄くんの計画通り、みたいな感じがして全然嬉しくない。

「よーし、じゃあ次質問コーナー！なんでも答えるぜ、
砂川先生が！」

『か、勝手なコーナー作るな！！』

もう一回クラス替えしてもらえませんか！



つ、疲れた…

初日は宇髄の野郎に遊ばれて終わった。

これから毎日続くの？もたないんだけど。

「よ、砂川ちゃんお疲れ。大健闘じゃねぇの」

『誰のせいだと…』

あとここ廊下！肩を組むな。
生徒たちが囃してくるし。

「お前ら何見てんだよ、こっからは派手に大人の事情だから帰れ」

『変な言い方するな！違うよ！違うからね！』

どこまで気疲れさせたら気が済むんだ！

「よーし、やっと二人きりだな」

『違います』

腕から抜け出し、職員室に避難する。


「む、砂川。息を切らしてどうした！」

『あ、煉獄先生、宇髄先生から匿ってくれませんか！』

「うむ…だいたい察した！俺に任せておけ！」

た、頼もしい！

「砂川ちゃーん、逃げても無駄だぜ」

「宇髄、彼女が嫌がっているじゃないか、やめなさい」

煉獄先生の背中について、うんうんと頷く。
宇髄くんは露骨に顔をしかめた。

「煉獄、何言われたか知らないけど俺と砂川の話だから。
退いてくんね」

「断る！」

やだかっこいい…と見惚れていたら

宇髄くんが般若みたいな顔してる。
これはまずいかも。

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