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私が広場の方向へ走っていると、向こうからみんなが歩いて向かってきた。
「お、アーヤいたぞ」
「ガキ連れて……何してんだ?」
「Aいなくね?」
あーもう!
そんなのんきにしてる場合じゃないんだってば!
息が上がった上に、軽いパニック状態に陥っていた私は、どう話していいかわからなかった。
「あのっ……Aちゃんがっ……」
私のこの状態と、Aちゃんの名前が出たことで、みんなは今が緊急事態だってことを少し察してくれたみたいだった。
「落ち着いてアーヤ。まず一度、深呼吸してごらん」
黒木くんにそう促されて、落ち着いてきた私は、今見てきたことを話した。
男の特徴から、そいつが言っていたことも全部。
「何!?じゃあAは今、捕まってんのか?」
「まじか……」
「どうするよ?」
「……A、何か言ってなかった?」
うーん……特には何も言ってなかったんじゃ……あ!
「そういえば奈緒ちゃんに……!」
「この子供に?」
私は奈緒ちゃんに向き直る。
「奈緒ちゃん、あのお姉ちゃんが連れていかれるとき、奈緒ちゃんに何か言ってたよね?何て言ってたかわかる?」
これがわかれば、何か掴めるかもしれない。
みんなもそう思ったみたいで、全員が奈緒ちゃんを見つめた。
「えっと……えっとね、『つちのひ、みつきち』って伝えてって言ってたの」
「土の日蜜吉?……暗号か?」
「いや、Aはこの子供を通じて俺たちにこれを伝えたかったんだろ。無理に暗号にする必要はないはずだ」
「じゃあ、その言葉がそのまま何かを表しているってこと?」
みんなで考え込む。
つちのひ、みつきち……。
区切り方とかイントネーションを変えてみるのはどうだろう。
子供だったら、聞きなれない言葉を違うイントネーションで覚えちゃうこともあるよね。
つち、のひみ、つきち……。
つちのひみつ、きち……。
つちの、ひみつきち……。
……あっ!
「『土の秘密基地』だよ!」
「土の秘密基地?」
「確かに言葉にはなってるけど、それが何を表してるって……」
「わかった」
「……え?」
わかった、そう言ったのは、上杉くんだった。
「土の秘密基地だろ?だったらあそこだ」
そう言って、上杉くんは走り出したの。
「おい上杉っ!」
「どこ行くんだよ!」
戸惑いながらも、みんなで上杉くんを追って走ったんだ。
作者のひとりごと(随時更新)
春編お付き合いありがとうございました!夏編は私が書きたかったお話てんこ盛りなので、なかなかまとまらずに苦戦中です……。気長にお待ちいただければ有り難く思います。それでは続編でお会いしましょう!
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奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けるとやる気が出ます。師走の忙しい時期ですが、とにかく公開だけはしようと思っているのでお待ちください。 (2018年12月9日 21時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - 12月15日、絶対に夏編見ます!楽しみです!これからも、頑張って下さいね! (2018年12月7日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» ありがとうございます!とても嬉しいです。夏編がなかなか書き進まず、公開は遅くなってしまいそうなのですが、必ず完成させるのでもうしばらくお待ちいただければ嬉しく思います。 (2018年11月6日 22時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - とっても面白かったです!夏編も楽しみにしてます!! (2018年11月5日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 志恵さん» コメントありがとうございます!春編まではとりあえず早めに更新できそうなので、頑張って進めたいと思っています。これからも読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。 (2018年9月30日 10時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奈都 | 作成日時:2018年8月10日 9時