事件は突然に【彩】 ページ25
「アーヤ、行ったよ」
「お、ナイスショット」
「おし、任せとけって!」
「……おい若武、かっこつけて空振りすんなよ」
バドミントン、私はあまりやったことがなかったけれど、みんながコツを教えてくれたおかげで、いい感じにラリーを続けられている。
私や小塚くんが、時々変な方向に飛ばしてしまうのだけれど、運動神経抜群のみんながすぐに追いついて、繋げてくれるんだ。
うーん……楽しい!
「アーヤ、上手いじゃん」
翼が褒めてくれる。
ラリーができているのはみんなのおかげってわかってはいるんだけれど、それでも嬉しかった。
ポン、ポン、ポン。
心地いい音と共に、羽が空中を舞う。
そのとき、
「あ、ごめん!」
私が打った羽が、まるで明後日の方向に、遠くまで飛んでしまったんだ。
さすがに誰も追い付けなくて……。
それと同時に、いきなり風が吹いてきて、それはさらに遠くの茂みの見えないところまで飛ばされていった。
「私、取ってくるね」
一番近かったAちゃんが、その方向へ走ってくれたの。
申し訳なく思いながら、私もそのあとを追いかけた。
私がAちゃんに追いついた頃には、もう彼女の手には羽があった。
「ごめんね、ありがとう」
そう伝えて、私はみんなのところへ戻ろうと、足を踏み出そうとしたんだ。
でも、Aちゃんは様子が違っていて、茂みの奥の方を見つめていたの。
「……Aちゃん?」
「あの子……」
その視線の先には……泣いている、一人の女の子がいたの。
小学校低学年、もしくは中学年くらいかな。
ボブカットの髪で、キャラクター物の青いシャツを着ている。
人も来ないような、こんな広場の奥で一人なんて……何かあるのだろうか。
Aちゃんと一緒にそっと茂みの奥に近づいて、その子に話しかけたんだ。
「ねぇ……あなた、お名前は?」
「……なお」
「なおちゃんって言うんだ」
泣きながらも答える女の子。
その子が履いている靴のかかとに、「
「奈緒ちゃんは何してるの?」
「おじさんがっ……おじさんが……」
「おじさんって?」
「……私、お友達のあんちゃんと遊んでたの。でも知らないおじさんが来て、あんちゃんが連れてかれたの……」
「連れてかれた……?」
その言葉を聞いて、私とAちゃんは顔を見合わせた。
「Aちゃん……」
「これってたぶん……」
誘拐だ……!
作者のひとりごと(随時更新)
春編お付き合いありがとうございました!夏編は私が書きたかったお話てんこ盛りなので、なかなかまとまらずに苦戦中です……。気長にお待ちいただければ有り難く思います。それでは続編でお会いしましょう!
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奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けるとやる気が出ます。師走の忙しい時期ですが、とにかく公開だけはしようと思っているのでお待ちください。 (2018年12月9日 21時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - 12月15日、絶対に夏編見ます!楽しみです!これからも、頑張って下さいね! (2018年12月7日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» ありがとうございます!とても嬉しいです。夏編がなかなか書き進まず、公開は遅くなってしまいそうなのですが、必ず完成させるのでもうしばらくお待ちいただければ嬉しく思います。 (2018年11月6日 22時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - とっても面白かったです!夏編も楽しみにしてます!! (2018年11月5日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 志恵さん» コメントありがとうございます!春編まではとりあえず早めに更新できそうなので、頑張って進めたいと思っています。これからも読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。 (2018年9月30日 10時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奈都 | 作成日時:2018年8月10日 9時