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若武の家が見えてくると、その玄関の前に、小塚くんが自転車を停めている姿が見えた。
私もその隣に並べようと、近づく。
私に気づいた小塚くんは、手を振ってくれたの。
「やぁアーヤ」
「こんにちは、小塚くん」
小塚くんは、私が自転車を停め終えるまで待っていてくれた。
玄関の前で、大きくきれいな若武の家を見上げる。
右側には、レモンの木が葉を揺らしていた。
「レモンの木って、珍しいよね」
「うん。この辺りでは、確かにあまり見かけないね。でも、レモンって、育てるのは難しくないよ」
そうなの?
「寒さに弱いっていうのはあるけど、それ以外では特にないから、最近育て始める人も多いんだ。初夏になれば、白い花が咲く。もう少ししたら、きっと見られるよ」
そう言って、木を見上げながら微笑む小塚くん。
さすがといえるシャリの小塚の知識に、感嘆する。
難しくないなら、育ててみようかな。
家にあったら、それだけですごくおしゃれだもの。
一瞬そんなことを考えたけれど、考えてみればママがそんなことを許すわけがなかった……。
「僕は酸っぱいの苦手だから、育てる気にはならないけどね」
そんなことを話しながら、玄関のノッカーを手に取る。
すぐに島崎さんに迎えられ、スリッパを並べてくれた。
「こんにちは。上杉さんと櫻木さんが、既にいらっしゃってますよ」
「ありがとうございます」
「お邪魔します」
「後でドーナツをお持ちしますね」
島崎さんの好意をありがたく思いながら、スリッパに足を入れた。
書斎は廊下の一番奥。
扉を開けると、三人がいた。
「お、来たな」
「今日は早いじゃねーか」
「あ、彩ちゃん。こんにちは」
三人はソファーに並んで座っていた。
私と小塚くんも、その近くに腰を下ろす。
「なんだ、アーヤとA、もう仲良くなったのか」
「彩ちゃん」という呼び方に、若武は少し驚いていたみたいだった。
それにAちゃんが「だって」と続ける。
「同じクラスだもん。ね、彩ちゃん」
「うん、Aちゃんの方から声をかけてくれたの」
一週間前初めて会った私たちが仲良くしていることで、みんな安心しているように見えた。
その後、世間話のようなものをしていると、黒木くんと翼もやってきて、ようやく全員が揃ったんだ。
「よし、これで全員だな。それでは、kz会議を始める!」
気合いの入った声が、書斎に響いた。
作者のひとりごと(随時更新)
春編お付き合いありがとうございました!夏編は私が書きたかったお話てんこ盛りなので、なかなかまとまらずに苦戦中です……。気長にお待ちいただければ有り難く思います。それでは続編でお会いしましょう!
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奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けるとやる気が出ます。師走の忙しい時期ですが、とにかく公開だけはしようと思っているのでお待ちください。 (2018年12月9日 21時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - 12月15日、絶対に夏編見ます!楽しみです!これからも、頑張って下さいね! (2018年12月7日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» ありがとうございます!とても嬉しいです。夏編がなかなか書き進まず、公開は遅くなってしまいそうなのですが、必ず完成させるのでもうしばらくお待ちいただければ嬉しく思います。 (2018年11月6日 22時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - とっても面白かったです!夏編も楽しみにしてます!! (2018年11月5日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 志恵さん» コメントありがとうございます!春編まではとりあえず早めに更新できそうなので、頑張って進めたいと思っています。これからも読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。 (2018年9月30日 10時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奈都 | 作成日時:2018年8月10日 9時