14．この人は意地悪だ。 ページ14
．
．
翔「…あ！こっちこっち！」
──･･･結局。
．
"
智『今日も遅くなるの？』
A『…うん、高校の友達と久々に会うんだよね。』
智『……あー。そうなんだ。分かった。』
"
．
．
智に嘘をついて、ここにやってきた。
．
．
A「…お、お疲れ様です。」
．
「櫻井さんとご飯を食べてくる」その一言が、どうして言えないのかは私自身が一番分かっていた。
それは、
翔「ごめんね。いきなり誘っちゃって(笑)」
．
──･･･まだこの人に対しての想いが消えていないから。
．
．
A「仕事のお話ですか？何か問題点、ありましたか？」
翔「………ふふ。熱心なんだね〜。プライベートなんだから気抜いたらいいのに。」
櫻井さんが誘ってくれたお店は、いつも来る感じとは大きく違うお洒落なレストラン。
グラスに口をつける櫻井さんは、どこの角度から見ても絵になる。
．
A「…え、あ(笑)だって今日、仕事の話で呼んだんじゃ、」
翔「………そうじゃないとしたら？」
A「…え、」
翔「……君と、純粋に食事をしたくて誘ったとするなら？…どうする？」
．
．
なに。この人ずるい。
そんな風に微笑んで、そんな風に私のことを見て。
．
この人、私の気持ち知ってるんじゃ─･･･
翔「……なーんて。ごめんごめん、からかって(笑)」
A「…あ、いや、あの、」
翔「でも今日は本当に仕事の話じゃないよ、誘ったの。」
A「……。」
翔「……結婚。するんだってね。」
．
．
─･･･この人は本物の意地悪だ。
．
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作者名：向日葵
| 作成日時：2016年4月11日 20時
