04.パンケーキ ページ5
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芽郁「先生ってほんと先生っぽくないよね、だって携帯出してても怒らないし！」
和也「おい、一応注意はしてるだろ(笑)」
芽郁「でも他の先生はすぐ取り上げるよ？」
和也「いちいち取り上げてても面倒くさいからなー」
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芽郁は、誰とでも気さくに話せるから羨ましい。
私はどちらかというと人見知りに分類される方で、つい最近先生にも嫌われてるのかと思ったなんてことも言われてしまった。
昔から怒ってるのかと思った、何を考えてるのか分からないと言われ続けてきて、すごくそれは私の沢山あるコンプレックスのうちの一つ。
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…今の私は、先生にとって取っ付きにくい生徒なのかな。
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和也「楠？」
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すぐ隣で話す芽郁と二宮先生をよそに、そんなことを考えていたら二宮先生が私の顔を覗き込む。
え、と驚いたときには先生はもたれていた私の机から離れて、直ぐ目の前に立っていた。
まん丸の目。涙が溜まっているわけじゃないのに、潤って見えるその瞳は、何かの結晶のようなものにも見えた。
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芽郁「A大丈夫？二宮先生が水やり手伝ってくれるってさ！」
「え？あ、そうなの？」
和也「ほら行くぞー楠」
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じゃあなー草野ーと芽郁の方にひらひらと手を振り、教室から出る二宮先生を私は戸惑いながらも追った。
教室を出ると案外すぐに先生に追いついて、三歩後ろで歩く。
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特に何か会話をするわけじゃなく、窓から差し込む夕暮れの光を浴びながら、やけに大きく聞こえる足音を感じる。
先生の足音は軽くて、少し高い音。背中は、男の人にしては細いのかもしれないけど、高校生の私からすれば大きくて、広い背中だった。
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和也「今日草野とどっか行く予定でもあるの？」
「え？あ…そうです！パンケーキ屋さんに行こうって！」
和也「ふーん、パンケーキねぇ」
「はい…」
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会話が始まったと思ったら、すぐに終わる会話。
さっきは芽郁と途切れることなくずっと話してたのにな。
はぁ、と色々なことを頭によぎらせながら、ため息を吐きたい気持ちも、全部飲み込んだ。
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作者名：向日葵
| 作成日時：2019年11月3日 23時
