稲実マネの日常

日常２５ ページ25

多田野

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国友「お前みたいなマネージャーがいなくなるのは惜しいが」


　「すいません」


国友「将来のためだと思ってしっかりアメリカで学習してこい」


　「はい、ありがとうございます」



たまたま通りかかったところで聞いてしまった監督とAさんの会話


Aさんがいなくなる…？


アメリカ…？


とりあえず鳴さんたちに報告しなきゃ。


人生で初めてこんなに全力で廊下を走る


多田野「鳴さんいらっしゃいますか！？」


先輩の教室の入り口で叫ぶこともこれが最後だろう


成宮「樹そんなに慌ててどうしたのさ、彼女でもできた？」


なんていつもは笑い飛ばせるような冗談も今日は笑えない


多田野「鳴さん、Aさんが…」


成宮「成瀬？成瀬ならさっき監督に用があるからとか言ってどっか行ったよ」


多田野「Aさんが、Aさんがアメリカに行くらしいんです」


神谷「おー、お嬢金持ちだったのかお土産くれっかな〜」


白河「あいつ旅行とか行ってる場合じゃないでしょ」


多田野「違うんですよ！なんか部活辞めるとか…」


成宮「は？引っ越すってこと…？」


白河「長期留学の可能性もある」


成宮「で、でも。成瀬そんなこと一言も言ってなかったじゃん！！」


神谷「あのお嬢が俺らに心配かけるようなこと言うと思うか？」


普段はこの人達とふざけているAさんだけど、

マネージャーの仕事はしっかりしているし、

チームにとってマイナスになるような言動は絶対にしない


成宮「俺は信じないから！」


神谷「信じるとか信じないとかの問題じゃないと思うぜ」


白河「成瀬に聞くのが1番早いと思うけど」


今の4人の雰囲気はかなり最悪


　「ただいま〜、ってなんで樹ここにいるの！」


最悪のタイミングで教室に戻ってくるAさん

手には英語の参考書


多田野「テストも近くないのに英語の勉強ですか？」


　「んー、そうそう早急に必要になっちゃって」


そう笑顔で言うAさんと反対にガンっと音を立てて立ち上がる鳴さん


成宮「気楽でいいね」


とだけ言い残してどこかへ行ってしまった


　「成宮なんで不機嫌なの？」


わけがわからないという風な顔をしている


神谷「成宮の気持ちもわからなくはないけどな」


白河「あれは露骨すぎる」


稲実の野球部からAさんがいなくなるなんて想像もできない

ずっと一緒にいた鳴さんたちならなおさら…






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