旧校舎のキュウケツキ (ページ5)

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…なんとか家に帰り、その後もしかしたら家まで来て殺されるかもとかそんなことたくさん考えたけど結局何もなかった。

その日は恐怖もあって寝付けなかったので吸血鬼についてたくさん調べた。

そしたら、吸血鬼はニンニクや十字架が苦手だと書いてあったので家にたまたまあった十字架のネックレスを身につけて学校に来た。

この世界に人間ではない怪物がいたのか。

そこにやっぱり驚きを隠せない。

実は人間なのはわたしだけで、他の人全てが何かの怪物なのではないかとだんだん思えてきて。

こんなこと相談できる友達とかいたらいいのだけど、そんな相手わたしにはいなくて。

学校の自分の席に来るまでは重い足取りだった。

阿「来栖さん」

席に着くなり、話しかけられて思わずびくっとしてしまった。

「あ、あべくん…」

でも相手はわたしに唯一話しかけてくれるクラスメイトのあべくんだったのでほっとする。

阿「おはよう〜、今日の小テストはいけそう？」

席替えする前までは前後の席で、あべくんが話しかけてくれて。

席が離れた今でもいつもたわいもない話をしてくれるんだけど、この人も何と言っても顔が良い。

なんとか人と関わらない生活を送っている身としては唯一話すクラスメイトがあべくんとは贅沢なことだ。

「えっ今日小テストあったっけ！忘れてた！」

あべくんに言われて初めて小テストの存在に気づいた。昨日の衝撃な出来事のせいで忘れていたのだ。

阿「めずらしいね笑はい、これ範囲。急いで覚えないと！」

「わ！ありがとう！」

あべくんはいつもとても優しい。
その優しさに感謝しながら英単語を頭に詰めていく。

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