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私の笑みを見て、安心したように笑うジョナサン。
「早くエリナのところへ行け」
「今までありがとう。……またね」
その言葉を残し、二人は成仏していった。
…最後まで過保護だったな。
ウンガロたちに「あまりAに甘えすぎちゃだめだよ」だの、マリアたちにも「幸せにね」だの…。
………今までいたやつが急にいなくなり、少しだけさみしい。
夜、そんな気持ちを紛らわせるために月を眺めながらワインを口に含む。
「…親父」
「…ん?どうかしたのか?」
「なァに一人で黄昏てんだよ」
「そーそー。俺らも混ぜろって」
唐突に騒がしくなった酒盛り。
息子たちの無言の優しさに、私の目元がジワリと濡れたのは……まあ、気のせいだ。
「おい、A。明後日の朝帰るぜ」
「ああ、分かった」
ということは、ここにいるのもあと2日、ということだな。
まあ、そこまでやり残したこともない。ゆっくりすればいいか…。
「……と思っていたのだがなァ…?」
「どうされたのです?」
「ふむ…君は私のことを知っているのかい?」
目の前にいるのは、服装こそ変わってはいるが吉良吉影だった。
昨日成仏する前の霊から『振り返ってはいけない小道』で振り返らせたから『天国にも地獄にもいけない』ようになっていると聞いたはずなのだが。
「貴様、死んだはずではないのか?」
「ん?ああ、どうやら私は成仏ができないらしくてな。生前の記憶もない」
「……(見なかったことにしよう)行くぞ、マリア」
「は、はあ……」
「まあ待ちたまえ。流石にそれは冷たいとは思わないか?」
無視して歩き続ける。
たしかにその小道で振り返ったらどうなるかは知らないとは聞いていたが、これは流石に解き放たれるスパンが短すぎる……いや、違うのか?
あの小道の役割は『振り返ったものの生前の記憶を消し、天国にも地獄にも行けないようにする』ということなのか?
それならばまだ納得はできる。
「なあ、なぜ無視をするんだ?君には血も涙もないのかい?」
「……お兄様、少し……早すぎますわ」
「む……すまない」
振り切るのは諦めることにした。
マリアには見えないようだな。
「マリア、見えぬのか?」
「何がですの?」
「…ああ、基本的には波長があうものにしか見えないよ。私が許可したものには見えるようにできるがね」
吉良吉影がマリアの前でパンっと手を叩く。
そのとたん、マリアが「まあ!誰ですか?この方!」と叫んだ。
……私の周りには変人が多いな……。
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アイウエオ(プロフ) - 受難1を数ページ見て感動した、すごい平和的だしDIO様優しいし、平和のほうもエエなと思った。 (2022年5月13日 3時) (レス) id: dcadc60966 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - 死音心音2.0さん» こちらこそありがとうございます!番外編などもそのうち書くので気長にお待ちください!← (2020年3月25日 7時) (レス) id: 25bb83b486 (このIDを非表示/違反報告)
死音心音2.0(プロフ) - 完結、一先ずおめでとうございます!いつも楽しく読ませて頂いておりました。次回作と番外編、楽しみにしております。素晴らしい作品をありがとうございました!! (2020年3月22日 23時) (レス) id: 2a5e77e557 (このIDを非表示/違反報告)
月明かりに導かれる者 - 初見です!初めてこの小説を読みましたが読んでいて話にのめり込んでしまいました(笑)面白かったです!更新頑張ってください! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 866b9f0c0d (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - 闇夜さん» ご指摘ありがとうございます!訂正させて頂きました! (2019年5月17日 23時) (レス) id: 0fe9064a66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あゆ | 作成日時:2018年9月12日 12時