～小さな世界～【永瀬廉】２ (ページ12)

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永瀬『…で、なんで屋上？』

「ふふふ、いいから。」

永瀬『……』

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＿＿Aが欲しい

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きっと、

そういう意味で言ったのだろう。

だけど、

そんな事出来るはずもないので、

とりあえず永瀬さんを連れて

屋上へとやって来た。

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永瀬『…別に外の空気吸っても一緒やで。』

「なにが？」

永瀬『Aが欲しいってのは変わらんよ。』

まだ言ってるよ。

真昼間にね。

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ベンチに2人横に並んで座る。

隣に座る永瀬さんの拗ねた横顔に

心の中でクスッと笑う。

昼間の屋上は夜とまた違って

青い空が広がり

陽射しが肌に直接感じて少し暑かった。

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「私、もっと永瀬さんを知りたいです。」

永瀬『……？』

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唐突に言った私の言葉に

不思議な顔をしてこちらを見ている永瀬さん。

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「例えば永瀬さんの好きな食べ物とか

趣味とか、家は何処なのかとか、そういう事！」

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「まだ、お互いに知らない事ばかりで、

そういう小さな事でも知れたら、

私もそれが安心感に変わるというか、…もっと

永瀬さんと近づけるような気がして…」

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永瀬さんが言う

“欲しい”

この意味とは少し違うかもしれないけど。

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「…駄目かな？」

ちょっとだけモジモジしながら

下を向いていると

永瀬さんは黙ったまま

私の手を奪い、そっと握る。

そして

私の方を見ながら優しく微笑み

ゆっくりと口を開いた。

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永瀬『いいよ。』

「……」

永瀬『俺もAの事、知りたいし？』

そう言って

わざと口をへの字にして笑う永瀬さん。

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「ふふふ、…じゃあ私からいいですか？」

永瀬『どうぞ。』

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