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意外と知らない事が多かった。
例えば永瀬さんは
白いお米が好きだと言う事。
「え？白米だけでいいの？」
永瀬『充分。』
「…えぇ〜？」
永瀬『んふふ…引くのやめてもらっていい？』
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休みの日は
ほとんど家でゲームをしているという事。
普段は製造業のお仕事をしているという事。
料理は出来ないが掃除は得意だという事。
インドア派だという事。
友達と呼べる人は居ないという事も。
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「…寂しくなかったですか？」
永瀬『寂しくないよ別に。今は、Aがおるし。』
「…ふふふ」
永瀬『…なに。』
「なら良かったです。」
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あまりテレビは観ないだとか、
本は読まないがマンガは読むとか、
本当、些細な事まで
今日は沢山知れた。
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永瀬『じゃあ、俺も聞いていい？』
「ふふふ、はい。いいですよ？」
永瀬『…ん〜、なんしよ。』
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ん〜、と上を向いて
私への質問を考える永瀬さん。
そして
ごく普通の流れで、
永瀬さんからこんな質問が。
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永瀬『Aは兄弟とかおる？』
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「……。」
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自然と手に力が入る。
私は瞼を閉じて息を吸い込み、
そしてゆっくりと口を開いた。
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「兄が居ました」
永瀬『……』
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きっと私の表情や声のトーンで察したのだろう。
永瀬さんは一気に黙り込む。
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「3つ上のお兄ちゃん。
とても優しくて、家族想いで、温かい人。」
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とても大好きだった。
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でも、
お兄ちゃんは
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「でも兄は5年前に、…自ら命を」
永瀬『言わんでいいよ。』
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永瀬さんの手が温かくて、
声が優しくて
側に居るだけで心が勝手にほぐれていく。
「……」
急に
どうしても甘えたくなって
弱音や不安が
一気に溢れ出しちゃって
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「…私ね、」
永瀬『……。』
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永瀬さんは、
まるでそれを受け止めるように
永瀬『…うん。』
私の手をさらに強く握ってくれた。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年10月23日 20時
