～小さな世界～【永瀬廉】 (ページ28)

今日:48 hit、昨日:53 hit、合計:550,176 hit

28 Kaito side ページ28

kaito side…

.

『…ありゃ！？どうしたの、その顔。』

「…や、やっぱり分かる？」

休み明けに職場に向かうと

片頬を赤く腫らしたAに気付く。

へへへ

と誤魔化したように笑うAに

何度か理由をしつこく聞いてみると、

.

『え、リーダーと喧嘩し』

「ちょ、声がでかい！！」

『…あ、ごめん。』

慌てて俺の口を手で抑えるA。

.

女の子って、

喧嘩したら手が出るの？

怖いんだけど。

でも、さらに詳しく聞いてみると

俺も我慢ならない内容だった。

『…なにそれ。』

「まぁ、私もキツく反抗しちゃったから。」

『それで平手打ち？…流石にやり過ぎでしょ』

「いいの！さ、仕事仕事！」

でも、

本人はもうスッキリしたようで。

いや、むしろちょっと…ご機嫌？

これは

何かありましたな。

.

.

.

『永瀬さぁ～ん、朝食持って来ましたぁ～』

永瀬『……』

.

相変わらず愛想ねぇな。

Aは今日、朝から別の業務があったので

代わって俺が永瀬さんの食事を持ってきた。

俺の事はまるで見えていないかのように

黙って右手でスプーンを取り

そのままスープに手をつけ始める永瀬さん。

.

その間に俺は点滴の確認をしたり、

.

.

永瀬『あのさぁ。』

『ぅわッ！！』

永瀬さんの声に

ビクンッと飛び跳ねる俺。

.

『…え？……俺すか？』

永瀬『……』

.

.

俺の顔を

じーっと冷たい眼差しで向けてくる永瀬さん。

初めて声をかけられた&目が合ったので

驚きのあまり俺は固まる。

『…な、…なんでしょ？』

永瀬『……』

『……。』

.

え、ただ呼ばれただけ？

そんなパターン？

.

『…あのぉ～、…』

永瀬『ここの病院って看護師殴る奴おるん。』

『……？』

.

眉間にシワを寄せながら

永瀬さんは恐ろしい質問を俺に投げてきた。

看護師を殴る奴？

え、分かんない分かんない、

ちょっと待って何の話。

『…え？』

永瀬『A、顔腫らしとったやろ。』

『……』

.

.

はっはぁ～ん

なるほどなるほど。

Aの話ね。

『あ！ハハハッ、やっぱりバレちゃい』

永瀬『誰か早よ教えろや』

……え。

めちゃくちゃ怖いんですけど。

.