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聞きたくない。
これ以上の言葉は聞きたくないよ。
「…やっぱり、やめましょう。」
永瀬『……』
「…私が変な事聞いちゃったから、」
永瀬『死にたいと思った事、俺はないよ？』
「え？」
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あ。
…え？
私はヘンテコな声が思わず出てしまう。
永瀬『…んふふ、え？ってなに。』
「…いや、その、…別に」
永瀬『勘違いされてるやろなぁとは思ってたけど』
「……」
海人が前に変な事を言うから。
それに確かに永瀬さん暗いし、
ミステリアス過ぎて、もしかしたら…って。
でも。
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＿＿死にたいと思った事、俺はないよ？
なんだ…
良かった。
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だけど、
.
.
永瀬『でも、生きたいとも思った事ない。』
ホッと一安心した矢先に
耳に届く複雑な言葉。
永瀬『別にどうでもいいって言うたらあれやけど、
何かに後悔するほど、深い人生歩んでないから俺。』
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永瀬『事故った時も、どうでも良かった。
このまま死にたいとも思わんかったし、
まだ生きていたいとも思わんかった。』
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私は、必死で涙を堪えながら
ゆっくりと話す永瀬さんの言葉を黙って聞いた。
永瀬『でも、』
「……」
すると天を見上げていた永瀬さんは
私の方へと顔を傾け、
すっと伸びてきた右手は
私の手をギュッと優しく握る。
そして、
.
永瀬『…今は違う。』
「……？」
.
.
.
.
永瀬『今はどうでもいいなんて思わん。』
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私は、小さな声で
どうして？
と恐る恐る聞いてみる。
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永瀬『…言わん。』
「………え。」
永瀬『これ以上は言わん。』
「…は？…いや、…そこは言う流れでしょ」
永瀬『いやや。』
なんとも気になるところで話が終わった。
不完全燃焼。
全然スッキリしないんだけど。
「…言って下さいよ！」
永瀬『…言わんて。』
「……ケチ。」
拗ねた顔をわざと見せつけると
永瀬さんは笑って私の頭を撫でた。
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永瀬『だから、迷惑じゃないよ。』
「…」
永瀬『……全然迷惑じゃない。』
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私はこの時、別の事を考えた。
永瀬さんをもっと知りたい。
そして、
「…良かった。」
永瀬『…ん。』
.
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もっと触れたいと＿＿
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年10月19日 11時
