～先輩の隣は～【永瀬廉】 (ページ11)

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「先輩！！」

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次の日、

私はまず自分のデスクに座る前に

先輩に声をかける。

座ったまま、

色味のない表情で私を見上げる先輩。

「…ま、…まず。…お、おはようございます。」

永瀬『おはよう。』

まずは、朝の挨拶からね。

「そ、…そして。昨日は申し訳ございませんでした」

永瀬『別にもぉええよ』

そして、次に昨日の謝罪をする。

先輩の声を聞く限り、

確かに怒ってはいなさそうだけど

でも、もう諦めたような呆れられたような

そんな風にも受け取れる言い方だ。

永瀬先輩は、パソコンに目線を置いて

私の用件が終わったと思ったのか

キーボードを叩き始める。

「……。」

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永瀬『え、なに？』

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黙ったまま突っ立ている私に、

今度は怪訝な顔をして見上げてきた先輩。

「……。」

それでも無言を貫き通す私を見て

先輩は自分の黒髪をクシャっと触り、

溜息をついた。

永瀬『もう怒ってへんから、早よ座れ。』

「……。」

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言いたい事、沢山用意してきたのに。

なかなか声に出せない臆病者の私。

ちゃんと謝罪して、

先輩に伝えないといけない事が…

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永瀬『もう俺の事、嫌になったか？』

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すると先輩は、

今まで見た事もないような優しい表情で

いつの間にか、私のことを見上げていた。

私は、声に出せば涙が出そうで、

黙ってフルフルと首を横に振る。

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永瀬『違うん？』

「…はい。」

永瀬『んふふ、…じゃあなんやねん。』

ねえ。

泣いちゃうから、

突然、そんな優しく笑わないでよ。

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私は、鞄の中に入った資料を取り出す。

そして、先輩にそれを渡した。

永瀬『なにこれ。』

「遅くなり申し訳ございませんでした。」

永瀬『ん？』

先輩は、その資料に目線を変えて

パラパラと指でページをめくっていく。

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永瀬『調べてきたん？』

「…はい。先輩に頂いた資料と、それ以外にも
自分なりに分からない所は調べて…それで…それで」

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すると先輩は、

ゆっくりと椅子から立ち上がる。

今度は私が背の高い先輩の顔を見上げて、

そして。

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