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家に着いて、
私はベットに勢いよく倒れ込む。
大した仕事もしてないのにね。
「…社会人、向いてないわ私。」
そして情けない独り言を呟き、
私はだらしなく
鞄の中から携帯を取り出そうとした時、
昨日先輩に貰った資料が、ふと目に入る。
「……。」
私は、ゆっくりと身体を起こして
訪問が終わった後に見ても、
もう意味がないであろう資料を手に取り、
ページをめくった。
そこには取引先にまつわる様々な情報が
載せられていた。
何をしている会社なのか、それ以外にも
社員人数、規模、年数など細かい所まで。
今更見ても、もう遅いよね。
やっぱり、もうこの仕事は
辞めてしまおうか。
3日で辞めるなんて聞いたら、
きっと両親も怒るだろうな。
いや、呆れられるか？
「…はぁ。」
パラパラっと適当に、
とりあえず最後のページまで目を通す。
すると、
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「…え」
私は最後のページのある一部に、
思わず驚きの声が漏れた。
そこには、恐らく永瀬先輩が
直筆で書いたであろう文字で
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“ちゃんと覚えてこいよ”
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「…ふっ」
意外と字が汚い先輩のメッセージに
私は、切ない笑みが溢れた。
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先輩の言葉はいつも正論だった。
私が今まで
友達や親に何も言われてこなかった甘い性格を
先輩は躊躇なくブスブスと鋭い剣で刺してくる。
今まで気にもしていなかったのに、
社会人になって、永瀬先輩と出会って、
初めてこんな自分が嫌になった。
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こんな自分が嫌で、
それを先輩のせいにして、逃げたくなった。
でも、
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このまま、逃げたら私
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本当のクズになってしまう。
嫌な事から逃げ続けた人生の最後には、
一体どんな幸せが待っている？
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「…クズは、…嫌だな。」
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私は、パッと立ち上がり
資料をテーブルの上に広げた。
もう意味ないし、
無駄だって分かっているけど
でも、
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“ちゃんと覚えてこいよ”
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なんかムカつくから、
一語一句全て、頭に叩きつけてやる。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月7日 12時
