馬酔木の助力～7部まで～ (ページ2)

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2(夢主視点) ページ2

目が覚めた。
ブチャラティを助けたところまでは覚えているんだが…ここはどこだ？
視界にはどこかの天井が見える。
…体は動かない。
というより動いてはいるが自分の意志ではない。

二重人格のようなものか…？
不思議なこともあるものだ、と考えつつもスタンドやら吸血鬼やらと付き合っていたものだからほとんど驚きはない。
ただ死んでしまったのかどうかだけが疑問だ。

この体の主人格はファニーというらしい。
何年か経ち、本人に自我が芽生えたときに私の存在を認識してもらえた。

そして分かったこと。
・人格の交代は基本的にファニーができる。ただし、無理をすれば私のほうでも交代可能。
・交代すると体格すらも変わる。
・会話は表に出ている人格が脳内で話しかけてくればもう一つの人格と会話できる(表に出ている人格が口に出してもちゃんともう一つの人格に伝わる)。
ということらしい。

【ねえA。父さんはいつ戦争から帰ってくるのかな？】

【…さぁ、いつだろうな？】

嫌な予感がしていた。
私のその予感は当たってしまった。

私たちの父親は帰ってこず、父親の戦友だという人がハンカチを渡してくれた。
それを見つめていたファニーは、部屋に一人きりになったときにぽつりとつぶやいた。

「…A」

【なんだ？】

「僕は決めた。僕は…父さんの意志を継いで、アメリカのために行動する！」

【そうか。君がそう決めたのなら私もそれに従おうか。その代わり、何かあったら止めるからな】

「うん、任せた。僕が道を誤りそうになったり誰かを不必要に傷つけようとしたら止めてくれ」

こうして、ファニーにとっては最初の物語が、私にとっては新しい物語が始まろうとしていた。

もしかして、前の私はまた死んでしまったのか…？
リゾットに生命エネルギーを分けてもらったし大丈夫だと思っていたんだが…。