EP.37 ページ37
*
奨｢あ、ちょっとスーパーでのど飴買ってもいい？｣
｢はい、大丈夫ですよ！｣
水族館の帰り。
楽しくてはしゃいで疲れた私たちは、
少しの間黙ったまま歩いていたが、
その沈黙を破ったのは與那城くんだった。
────私の考えすぎなのかな…喉痛いのかな…
ここで聞いて、もし答えて貰えなかったとしても私は納得する。
付き合ってるわけでもないのに、
答えたくない事を聞かれたらどれだけ不愉快な事か。
でも1歩進まない事には私の気持ちも伝わらないし、
與那城くんも辛いはず。
だからもう、聞くしかないと思った。
｢あ…あの…本当に答えたくなかったら全然いいんですけど…
與那城くん…最近、喉…｣
奨｢うん、そう。ちょっと風邪っぽいんだよね最近。
だから…病院にも行ってみてるし、メンバーにも相談してみてる。
Aは優しいからすぐ心配させちゃうな…ごめんね！(苦笑)｣
────まただ…また悲しそうに笑ってる…
私が何を聞いても無理をしているように見える。
何かあるのは間違いないのに、それが何か分からない。
この日は、複雑な気持ちで帰った。
｢おばあちゃん、もし…友達が隠し事っていうか…
言いたくないことがあったとしたら…
おばあちゃんはどうする？｣
家に帰ってきて、
気づくとベッドで寝ているおばあちゃんにポロッと相談していた。
祖母｢言えないことはね…無理に言わせない事。
でももし…Aがそのお友達に…助けられたんだとしたら…
そっとそばにいてあげなさい…それだけで…いい…｣
────そうだ…1番大切なのは…
與那城くんの話を聞くことじゃない…
どれだけそばにいてあげられるか…
恋愛感情とか友情とかその前に人の気持ちを考えていなかった。
私は後悔した。自分のした事がどれだけ與那城くんを傷つけたか。
好きになって、大好きになって、大切になって、
それなのに私は自分の力でその一番大切な方法を
見つけ出すことが出来なかった。
｢おばあちゃん、ごめん。
私、友達のところ行ってくるね。
おばあちゃんのおかげで分かったことがある。
ありがとう。｣
そう笑顔で言って、私は家から出て行った。
どこにいるか分からない與那城くんを目指し走っている自分が
滑稽に見えるはずなのに、さらに私は泣く。
────どこ…
＜prrrrr…prrrrr…
タイミングのいい着信音に慌ててスマホを見る。
画面を見た瞬間、体の底から熱く込み上げる何かがあった。
通話ボタンを押し、全てを吐き出した。
｢與那城くん…会いたいです！｣
*
続く (更新停止中)
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きなこ - 初めまして。こんばんは。最初から続けて読ませて頂きました。すごく素敵なお話で、終始ドキドキでした。物語の中でも、與那城くんの包み込むような優しさが溢れ出ていて、読んでいて幸せな時間でした。続きを楽しみにしてますね。 (2023年3月30日 23時) (
レス) @page37 id: 268a4b8156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Miaya | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/miayahome1225/
作成日時：2020年3月9日 0時
