summer kiss.2

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「…………………寝ちゃった、」







仕事から帰ってきて、
藤ヶ谷さんの帰りを待っていたけど
いつのまにかソファで寝てたみたい。





ふわりとかけられた
ブランケットからは
藤ヶ谷さんの香りがして。






リビングを見渡せば
カーテンがゆらゆら揺れてて、
月夜にぼんやりと浮かぶ影。




　




「おかえりなさい………………、」





「わっ、…………びっくりした、」





「ふふ、ごめんなさい」








バルコニーにある
椅子に腰かけていた藤ヶ谷さん。







突然の後ろからの声に驚いたみたいで、
可笑しくてふたりで笑った。








「これ…、ありがとうございました」



「ううん、かぜひいちゃうかな〜って」








“どうぞ”って、
もうひとつの椅子を引いてくれた。






「あ、ちょっと飲まない？」





揺らしたビールの缶、
“ちょっと付き合ってくれたら嬉しいな”って。




缶ビールを持ってきて
隣の椅子に腰かければ、




“大丈夫？寒くない？”って、
さっきのブランケットを
肩にかけてくれた。







「もう夜は涼しいよね」



「ちょうどいいですね、」



「ちょうどいいけど、
なんだかさみしい気持ちにもならない？」



「わかります、」




ふふ、ってふたりで
ビールに口をつけた。






虫の鳴き声が、
向こうの林から聴こえる。









「…………朝はごめんね、」







気まずそうに、話を切り出した。







「…………いいえ、」





「なんかさ、動揺しちゃってさ。
すごく会うの久しぶりだったんだよね。
俺が振られちゃったんだけど、
突然会わなくなって、
突然目の前に現れたからさ」




「藤ヶ谷さん…………、」






その表情は伏し目がちで、






「実は、Aちゃんが帰ってこなかった日、ここに会いにきたんだ、彼女。」




なんだか寂しそうで。






「…………なんで、って感じだよね、いまさら」






そう言って、
ビールを流し込んだ。






「藤ヶ谷さん、あの



「でも、ほんとカッコ悪いとこ
Aちゃんにみられちゃったな〜〜、
しかも慰めてもらっちゃったし。
だから、もう大丈夫。」







その瞳に見つめられると、
なにも言えなくなって
首を横に振った。






「明日さ、ひまわり見に行かない？」



「ひまわり？」



「うん。僕とデートしませんか？」







頷く私に、
“ちょっと名誉挽回しなきゃね、”って
私の頭をそっと撫でて、照れて微笑んだ。

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