♯2 ページ3
人を殺してしまえそうな鋭く冷たい瞳をしていて…
雰囲気も不機嫌そうであるにもかかわらず、彼は息を呑む程に美しい。
手入れの行き届いた艶やかな純白の髪に…
澄み渡る海をそのまま閉じ込めたような、蒼色の瞳。
彼を構成するものが完璧なまでに美しい状態で保たれているからこそだろう。
加えて彼が有する、圧倒的な音楽センス。
思わず聞き入ってしまう程に、美しい音色を奏でる演奏技術が備わっており…歌唱力も抜群。
芸能事務所の社長を務める音晴からすれば、彼は滅多に発見出来ない金の卵と呼べるだろう。
しかし、彼は頑なにスカウトを受けようとはしなかった。
一般的な考え方をするならば…ただ、芸能界に興味がないだけだと考えるだろう。
しかし、音晴は彼はそれだけではないと確信していた。
音楽を心から愛していながら、人を幸せにするこの仕事に人一倍興味がありながら…この業界に入っていくことを躊躇っている。
スカウトをきっぱりと断り、何度も音晴を跳ね除けている彼からは…完全なる拒絶よりもそちらの方を強く感じた。
嫌がっている訳ではなく、ただ…入るのを怖がっているだけ…
好きなものを嫌いになろうとしているだけ…
それだけならば、もう放ってはおけない。
芸能界に憧れを抱きながらも、その業界に飛び込み…生きていくことを躊躇してしまう未来のスターたち。
その背を押して、励まして…栄光のステージへと導くことこそが、芸能事務所社長の仕事。
そう考え、日々仕事を続ける音晴は目の前でこのまま腐ることを望もうとしている金の卵を捨て置くことは出来なかった。
今、一足先に小鳥遊プロダクション初の試みである男性アイドルグループとしてデビューを目指し歩みはじめた7人。
それを完全なものに、完成させる最後の最高のピース。
それを手にするため、夢を諦めようとする彼を止めるため…
二度目にして、最後のチャンスにのぞんだのである。
「君には、確かな才能がある。歌で人の心の色を変えて…感動を与える…人を幸せにする才能が。それを枯らしてしまって良いとは、僕は思えない。」
「躊躇いも、何かに対する遠慮も…必要ない。君は君の人生を生きてるんだから、自由に夢を描けばいいんだ。」
『…そんなことを言いに、わざわざここへ？』
今回も、耳に蓋をして…考えようとしていない彼。
だから…少しの荒療治を加える。
「…君に加入してほしいグループのライブが近日中にある。答えはそこで見て欲しい。」
『…っ！陸…？』
彼が来ざるを得ない状況へと誘いこんで。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 165人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月(プロフ) - キャベツの芽さん» はじめまして！コメントありがとうございます！尊くんもちゃんと受け入れられていて、大好きだと言ってもらえる程だと知れて安心しました！本当にありがとうございました！ (2019年5月24日 17時) (
レス) id: f01d23ed14 (このIDを非表示/違反報告)
キャベツの芽(プロフ) - 初めまして|´-`)ﾁﾗｯ海くんも尊くんも大好きです！！これからも楽しみにしております！！ (2019年5月24日 14時) (レス) id: 270caf8b44 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - Suiさん» コメントありがとうございます！これからも海くんのことを温かい目で見守ってくださればと思います。 (2019年3月26日 23時) (レス) id: f01d23ed14 (このIDを非表示/違反報告)
Sui - 続きがすっごい気になります!更新頑張って下さい！ (2019年3月26日 21時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
