♯31 ページ34
小鳥遊事務所の入り口の方へと一織の口元を抑えて、歩いていく陸。
その背後をこっそりと追いかけて、2人がその場で止まるのを確認すると…
海はその近くの物陰にこっそりと隠れて、聞き耳をたてた。
「ちょっと！離して下さいよ！」
「いいから来いって！」
どうやら陸が無理矢理、一織を連れ出したらしい。
口に手で蓋をした状態で連れて来たことに対する、一織の抗議を皮切りに会話が始まる。
練習に参加出来ていなかったため、この場に来る前に何があったのか海にはわからないが…
「なあ一織、おまえの好きなものは？」
「は？」
「何でも好きなもの買ってやる。オレの方が年上だしさ。アイスがいい？たい焼きがいい？」
何やら、一織にどうしても聞き入れて欲しいことがあり…今は少ない小遣いを使ってどうにか一織を買収したいらしい。
必死になって、高校生が喜びそうな菓子類を奢ってやると提案していく。
「……あきれた……。私を買収するつもりですか？」
「買収なんて……。」
「しかも安価な菓子で！！」
「お金ないんだもん！！わかった。予算は千円まで上げる。」
しかし、相手は一般的な高校生とは一味違う『パーフェクト高校生』。
かなり大人びているわけで、そんなものには釣られない。
そして…言葉の通り、本当にあきれた様子で陸に背を向け…事務所の中へと戻ろうと歩き出す。
「話になりません。事務所に戻って、メンバーとマネージャーに報告します。」
「陸さんは、ぜ……んんんっ」
陸に関する重要な何かを報告すると言って。
「言うなって頼んでるだろ！」
「……っ、さっきから勝手に、口に蓋するの止めてくれませんか！？鍋じゃないんですけどっ！？」
その内容は途中で陸に口を塞がれてしまったため、聞けなかったが…
『(…気付いたのか。和泉弟…。)』
海には一織が何と言おうとしたのか、何に気付いたのか…わかってしまった。
陸と、三つ子の兄弟として産み落とされ…
幼い頃には、ずっと一緒にいた家族ならばわからないはずが無い…
「お願いだから、黙っててくれよ！みんなに迷惑はかけない……！死んでもステージで踊り抜くから！」
陸が今、必死に隠したがっている…長年抱え続けてきた、大き過ぎる爆弾の存在に気付かれたということを。
その事実に気付いた…その時、海の身体は考えるよりも先に動いていた。
『…俺からも頼む。』
気付けば、物陰から出て…陸の隣に立ち、一織に頭を下げていた。
死んでも、ステージで踊り抜くという…陸の覚悟を無駄にしないために。
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月(プロフ) - キャベツの芽さん» はじめまして！コメントありがとうございます！尊くんもちゃんと受け入れられていて、大好きだと言ってもらえる程だと知れて安心しました！本当にありがとうございました！ (2019年5月24日 17時) (
レス) id: f01d23ed14 (このIDを非表示/違反報告)
キャベツの芽(プロフ) - 初めまして|´-`)ﾁﾗｯ海くんも尊くんも大好きです！！これからも楽しみにしております！！ (2019年5月24日 14時) (レス) id: 270caf8b44 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - Suiさん» コメントありがとうございます！これからも海くんのことを温かい目で見守ってくださればと思います。 (2019年3月26日 23時) (レス) id: f01d23ed14 (このIDを非表示/違反報告)
Sui - 続きがすっごい気になります!更新頑張って下さい！ (2019年3月26日 21時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
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