足音 五日前 ページ10
その日の朝は、授業にでませんでした。
皆さんはご存知でしょうが、僕はあまり授業にでないのです。
長屋で滝夜叉丸に教わる方がずっとわかり易いから。
決してこの学園が嫌いだった訳ではありませんよ。決して。
そんなわけで(どういうわけでしょうか)僕はいつも通り校庭に穴を掘っていました。
今は授業中だから誰もいないはず...
しかし校庭には、六年生の皆さんが本気で
食満先輩と七松先輩、中在家先輩と潮江先輩がコートの中で睨み合いながら。
一人座って審判をしていた立花先輩に聞くと、午前授業がないからだ、と言われました。
「お前は?」
「サボりです」
「やはり滝夜叉丸が心配か?」
「いえ、傷はもう治りましたよ。」
「そうではない。今朝のことだ」
「...今朝?」
「まさかお前知らないのか」
* * * * *
『今朝井戸で大量の血を吐いて倒れたんだ。今は保健室にいる。』
僕は保健室まで走りました。途中泣きそうになっていたのを覚えています。
「滝っ...!!!!!!」
失礼しますも言わず、保健室に飛びかからんばかりの勢いで入りました。
「しーっ。喜八郎、静かに」
そこにいたのは伊作先輩と新野先生、そして滝夜叉丸が布団で眠っていました。
「あっ、あのっ、滝夜叉丸は...」
「大丈夫。ちょっと熱があるみたいだからしばらくは保健室で安静、だね」
とてもつらそうだったよ、と伊作先輩から話をお聞きして、
(何故朝、ぼくは気づかなかったのか)
悔しさで今にも泣き出しそうでした。この間のせいで泣き虫になったみたいです。
「それと」
笑顔の消えた伊作先輩はゆっくりとこちらを見つめて言いました。
「非常に言いにくい事なのだけれど」
「...はい」
「 」
「え?」
* * * * *
そのあとは多分、ご飯も食べず風呂も入らず、だったと思います。
ただただ絶望と、信じられないという心と、
化け物に対しての憎悪。
その三つの感情が入り交じって、泣きそうになりましたが、
生憎涙は流しきってしまったのか一滴も泣きませんでした。
あの化け物のせいだ───────────
さて、あそこで僕が伊作先輩に何を言われたのか、
皆さんならわかるでしょう。
『滝夜叉丸、もう声が出せないみたいなんだ。』
─────────平滝夜叉丸がいなくなるまで、あと四日。
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和服教信者善法寺@保健(プロフ) - Parallel(ゾンビ)さん» (コメントありがとう私はそんなあなたが大好き) (2018年2月4日 0時) (レス) id: 108cb2d3e4 (このIDを非表示/違反報告)
Parallel(ゾンビ) - 綾滝......こころがぐしゃってされた......(とても好きですありがとうございます大好き) (2018年2月4日 0時) (レス) id: 222c42db20 (このIDを非表示/違反報告)
和服教信者善法寺@保健(プロフ) - やきもちまゆさん» わっしょい!!!! (2018年1月28日 12時) (レス) id: 108cb2d3e4 (このIDを非表示/違反報告)
やきもちまゆ - 綾滝わっしょい!!!! (2018年1月25日 23時) (レス) id: d19b1e571f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:和服教信者善法寺@保健 | 作成日時:2018年1月23日 23時