恋…? ページ8
「よし!夏目にも見せに行くか!!」
『え!?』
そう言って翠蓮は私の手を取ると、ずんずんと私の部屋へと歩を進める。
『ちょっ、ちょっと待って!?なんで夏目にも見せるのよ!』
「なーに、恥ずかしがることなかろう。どうせ夏目にも今後見られることになるだろうしな!
それにお前、夏目に惚れてるんだろう?」
『なっ!!』
ニヤリと笑う翠蓮に対し、私の顔には熱がどんどん集まっていく。
それを見た翠蓮は、より一層面白そうに笑みを作り、私の肩に手を置いてきた。
「いやー、Aが人間を好きになり、ましてやちゃんと人間の異性を好きになるとわなぁ。あの小さい頃のお前からじゃ考えられんな。
確かにな、夏目はいい男だもんな。好きになるのも仕方ねぇか。
まあでも、俺は安心したよ。ちゃんと馴染めてるようで。」
最初はニヤついて言っていたものの、最後はふと優しい顔つきで微笑んだ。
翠蓮は翠蓮なりに心配してくれていたんだね。
ありがとう。
……でも、そうやってからかうのだけは本当にやめて欲しい。
「大丈夫だぞA!!夏目とお前はお似合いだ。俺が保証する!応援してるからな!」
『っ…!私と夏目じゃ釣り合わないよ…。夏目にはもっといい人がいるし……。』
「お?なんだ?認める気になったか?」
『うるさいバカ翠蓮!!』
私がムキになってそう叫んだ瞬間に、頭を優しく撫でられた。
そしてそのまま抱きしめられる。
「もう少し自分に自信を持て。大丈夫だぞ。好きなら好きと、ちゃんと自覚して向き合え。
お前が幸せを掴んでくれたのなら、俺はそれだけで幸せだ。
まあ、今もお前が元気に過ごせていると知れてすごく幸せだがな。」
優しい声色で、囁くように言葉が紡がれる。
私が夏目のことを好きなのか、ハッキリとは分からない。
恋なんて、知らなかったから。
確かに夏目といると、最近は妙に緊張してしまう。
それは、そういうことなんだろうか。
まあでも、それを考えるのは後にしよう。
優しくてバカで面白い、私の兄のような大好きなこの妖は、昔と同じで私を元気づけようと、自信を持たせようとしてくれたんだ。
どれだけからかわれても、これだから憎めない。
『…ありがとう、翠蓮。』
私がそう言って抱きしめ返せば、翠蓮は笑って私から離れ、また歩き始めた。
まだ少し気恥しい気はするけど、夏目ならきっと褒めてくれる。
そう前向きに考えていたら、次第に私の頬は勝手に緩んでいった。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年10月18日 11時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - この作品面白いです。更新頑張ってください!続き楽しみにしています。 (2019年9月27日 22時) (レス) id: fe959518f7 (このIDを非表示/違反報告)
蝶華 - 初めてこのお話を読みましたが凄く良いです!これからも頑張ってください!応援しています! (2019年9月2日 21時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 更新お疲れ様です!最近夏目友人帳にニャンコ先生関連ではまっていてこの作品もとても楽しませてもらっています!徹夜して読みましたww 体調に気をつけて頑張ってくださいっっ!! (2019年7月20日 15時) (レス) id: a81fa4594d (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - かなとさん» すみません、すぐに気づいて直してきました。ご指摘ありがとうございます! (2019年6月7日 22時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年6月7日 22時