敵わない ページ42
私の忍術は、意外と簡単というか、そこまで時間がかからずとも習得できるものばかりだと思う。
だが、螺旋丸を超えるとなると話は変わってくる。あれは、四代目様が考案したものだ。容易に超えられるものじゃない。
先生は一体、どんな修行方法でそれを会得するのかしら。もう残された時間は多くないっていうのに……。
先生が説明をしようとした時、病室のドアが開かれ、そこから十班の面々が顔を出した。
「何だ。ナルトとサクラに、Aじゃねーか。任務はもう…」
言いかけたシカマルの目線の先には、サイが居た。
そっか。シカマルやチョウジは、サイに対して"攻撃を仕掛けてきた奴"という認識しかないんだ。
それからサイについてを説明し、どうやら打ち解けてくれたみたいだった。
するとシカマルがナルトと私の方に歩み寄り、声を小さくして話しかけてきた。
「サスケの事は綱手様から聞いた。今度は俺も、何かあったら協力するぜ。めんどくせー中忍試験も終わったしな。」
「………ああ…。」
『………うん、ありがとう、シカマル…。』
ちゃんと笑えていた自信はないが、精一杯の笑顔を向けて、お礼を伝えた。
シカマルに何か言われないかと不安だったが、アスマ先生が焼肉屋に行っといてくれと言ったことで、空気が変わった。
その事に、ほっと息をつく。
「…ってちょい待ち!!あのさ!あのさ!カカシ先生、修行の話の続きはどうなんだってばよ!?」
『それは私も教えてもらわないと困るな。』
「…そうだな。…んー…ま!また、あとでな。」
先生、いつもそんなこと言ってない?
まあ、こうなるとおそらく今日は教えてはくれないし、先生の言う"また"まで待つとしよう。
それから皆で焼肉に行く事になったのだが、私は用事があるからと、同じく焼肉には行かないシカマルと共に帰路に着いた。
その間、どちらも一言も発さないおかげで、気まずい雰囲気が流れる。
どうしたものかと考えていれば、シカマルが先に口を開いた。
「また、無茶しすぎんなよ。」
『うん。大丈夫。無茶はしないよ。』
「お前の大丈夫は信用なんねーんだよ。…一人で抱え込んでねーで、ちゃんと頼れよ。あんな下手くそな笑顔見せるくらいならな。」
そう言って、シカマルは軽く私の頭を撫でた。
今回の任務で私が不安を抱き、落ち込んでいるのを見抜いているのだろうか。
うん、と静かに返事をすると、ほろりと涙が零れた。
やっぱり、シカマルには敵わない。
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雪華 - 続編おめでとうございます! (2019年5月6日 17時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年5月4日 23時