捜索 ページ35
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「…まったく…。君はよく似ている。」
そう言って、サイはカバンを下ろして中からあの絵本を取り出した。
「兄さんにだよ。…口やかましく慌てん坊で、品がなくて…それにチン…まあそれはいいや…。
だけど…そう…君のように、何をするにも必死だった。
君を見ていると、何だか兄さんの事を…」
そこで言葉を詰まらせたサイは、ハッとしたように目を見開いたあと、カバンから筆を取り出し、何やら描き足し始めた。
もしかして……!
「それって…」
「思い出した…思い出したんだ…兄さんに見せたかった…二人の夢の絵を…。」
そう言ったサイの顔は、とても幸せそうに微笑んでいた。
それにつられるようにして、私やナルトも笑みを零す。
『良かったね、サイ。』
私がそう言った次の瞬間に、奥の方から誰か来る気配を感じ、その方向を見る。
すると、そこには大蛇丸が立っていた。
「さて…サイ…。アナタはどちら側につくのかしら?」
私達は一斉に立ち上がると、大蛇丸の攻撃を避ける。
…このまま三人でやり合うわけにはいかない。
ナルトとサイを行かせて、私だけここに残って時間を稼げば__
「ここは俺が止めるってばよ。サイ、A。お前らはサスケを捜してくれ。」
『でもナルト、まだチャクラが…』
「俺は大丈夫だってばよ。早く!」
「分かった…。サスケ君は僕とAさんが見つけて助け出す。Aさん、行こう。」
サイのその言葉を受け、静かにナルトに視線を移すと、大丈夫だというような瞳で私を見つめていた。
それに答えるようにして頷き、私はサイと共にサスケを捜すために駆け出した。
それからしばらく走り続け、道の端に着いた時、サイが巻物に鼠の絵をたくさん描き始める。
それがサイの忍術により、巻物から出てきて四方八方に飛び出して行った。
『…やっぱり凄いね、サイのその忍術。』
「ありがとう。」
一つ礼だけ言って、サイはそのまま目を閉じて集中してしまった。
私も出来るだけのことはやらないと。
『銀。サスケのチャクラ感知できる?』
「…いや、少し難しいな。お前らが成長していると共に、サスケも成長している。従ってチャクラの質なども変わるわけだ。
あの頃のサスケのまま、というわけではないから、捜しにくいというのが事実だな。」
となると、下手に動くよりは、ここは今のところサイに頼るしかないか。
……サスケは昔みたいに話してくれるのか。
それだけが、不安で仕方ない。
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雪華 - 続編おめでとうございます! (2019年5月6日 17時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年5月4日 23時