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ドスンと乱暴に床に腰を下ろした不死川さんは、隣に来るよう掌で数回木の板を叩く。







「これからも、煉獄の家にずっと居るつもりか」



大人しく言うことを聞いて、不死川さんの隣に正座した私を確認するように見て、不死川さんは空を見上げてそう話し出す。







「はい。再婚の話も一度でたのですが」



もちろん、お受けするつもりはありませんよと、不死川さんの膝の上で眠る桜寿郎の柔らかな頬をつつく。









「…私、昔から夢があるんです」




杏寿郎のように、体力も筋力もない。

学校に通っていた頃から、他の女子と比べても運動はあまり得意ではなくて、私なんかには鬼と戦うなんて絶対に出来ない。






でも、そんな私でも人の役に立ちたい。


そんな思いから、私は杏寿郎と出会ってからずっと、兄たちと同じ職につくことを志していた。



しかし、歳をとるごとに、私が女である限りそれは叶わないということを悟っていき、杏寿郎に嫁ぐと決めた時に諦めようと踏ん切りが着いた。







「一度、諦めたのですけれど」



短い間に驚くほど時代は様変わりし、女性の活躍も増えてきている今ならば、それも叶うかもしれない。



学生の時ほどではないが、最近勉強も始めている。



しかし、千寿郎は歴史書復元のための勉強で忙しく、槇寿郎さんも鬼殺隊の事後処理に今も夜遅くまで貢献している。

そのため、桜寿郎を見てくれる人がいないので、勉強できる時間は限られているが、それでももう叶えると決めた。








「ですから、どれだけ厳しい道程になったとしても

頑張っていこうと思います」


「…」



それが彼の望みでもあるのでと、夢についての内容を全て話終わると、庭を眺め続ける不死川さんは、ゆっくりと口を開く。









「なら、俺の家に住め」


「…はい?」



















俺が生きてる間なら桜寿郎も見ていられる。

この家の権利もお前に譲るから、俺が死んだ後にでもその夢とやらを叶える資金にしろ。


そう私に話した不死川さんは、あっという間に手続きを済ませ、煉獄家と一宮家への挨拶を済まし、私と桜寿郎の荷物を御屋敷へ運び終えた。









「…なんで、そこまで」


「別にお前のためじゃねぇ。…チビのためだ」



自惚れんなと私を一瞥した不死川さんは、桜寿郎の頭を数回撫で、私の真正面に立つ。








「その代わり、強い母親になれよ」





不死川さんは、この時初めて私に笑顔を向けた。







◇◇

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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- 涙止まらん。最高です (8月18日 23時) (レス) @page6 id: daa8a87cdb (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 初めてのコメント失礼します!メチャ号泣しました! ほんとに感動しました! (2022年3月29日 17時) (レス) @page33 id: 70da419123 (このIDを非表示/違反報告)
西川あや(プロフ) - つんつくさん» お返事遅くなってしまって申し訳ありません。暖かいコメントありがとうございます!手紙の内容については煉獄さんの性格などを色々悩んで書いたところなので、そう言っていただけるととても嬉しいです。 (2021年2月27日 21時) (レス) id: be0c2f3b60 (このIDを非表示/違反報告)
西川あや(プロフ) - みっちゃんさん» 2度も素敵なコメントありがとうございます!嬉しいコメントばかりで、物語を書くにあたって凄く励みになりました!お返事遅くなってしまって申し訳ありませんが、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。 (2021年2月27日 21時) (レス) id: be0c2f3b60 (このIDを非表示/違反報告)
つんつく(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。この度は完結おめでとうございます。作品のファンになりずっと楽しみに読ませていただいてました。煉獄さんの手紙にはいつもいつも泣かされました素敵すぎです。美しくとっても素敵な作品をありがとうございました。 (2021年2月4日 15時) (レス) id: 60af00218e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年11月21日 1時

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