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Aのお母さんと廊下で待っていると、先生が中から出てきた。お母さんはすぐに駆け寄った。
「お母さんだけ、お願いします」
お母さんに目線をやると、俺の方にも目線は来た。入っていいよと。
「…A」
病室に入ると、規則的に機械音が鳴っていた。マスクをつけて寝ているAに近寄った。
「大丈夫?」
『えい、ちゃん…』
「A?」
『えいちゃん…私死にたくないよ…』
「死なない。大丈夫」
Aはか細い声で言った。何をしてあげられるだろうか、と病室から出ようとしたとき、腕を掴まれた。
『そばにいて』
「!」
そう言うAを見ると、涙を流していた。初めて見る顔だった。
「わかった」
泣きそうになるのを堪え、再び椅子に座った。
。
『えいちゃん……』
「なに?」
『ごめんね…』
「何言ってんの。俺はAが病気でもいいから付き合ってるんだよ。好きだから付き合ってるの」
そう言えば少しだけ笑って、天井を見上げた。
『げほっ、げほっ』
「先生、呼ぶ?」
『えいちゃ、わたしっ…』
「待って、今…」
Aはナースコールを鳴らそうとする俺の手を掴んだ。
『えいちゃんと、っ、りょこう、い、いきたかった…』
「A…?A!おい!」
喋るのをやめた瞬間、すぐに目が閉じた。耳には同じ機械音がずっと聞こえていた。何度も名前を呼んだけど、もうAが目を開ける事は無かった。
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あやもち(新アカウント)(プロフ) - リンさん» ちょっと違う気がしますがありがとうございました! (2018年1月20日 22時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
リン - ありがとうございました。面白かったです。 (2018年1月20日 22時) (レス) id: da57983ead (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - ありがとうございます!! (2018年1月20日 21時) (レス) id: 3b3f15d52b (このIDを非表示/違反報告)
あやもち(新アカウント)(プロフ) - 未来さん» 了解です! (2018年1月20日 21時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - りょうくんとイチャイチャするシチュエーションってお願いできますか?? (2018年1月20日 21時) (レス) id: 3b3f15d52b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやもち(新アカウント) | 作者ホームページ:https://twitter.com/avntis_TO_mizu
作成日時:2017年11月17日 14時