【太宰治】愛迷アンサー【文豪ストレイドッグス】 (ページ29)

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いや、家でも布団でもなかった。
天井は暗く何も見えず布団が狭い。
身体に何か軽い物が乗っている。
誰かが私を運んでいる

いやだ、怖い。目的がわからない。

なんでこうなったのかを私は覚えていなくて、いや違う。

私は太宰さんと別れてから一度も太宰さんには合っていない。

さっきのは、妄想か。明晰夢か。

じゃあ私の身体はなんで動かない、なんで喋れない？

誘拐？攫われた？私が？

動け、動けと願っても私の身体は動かなくって私一人じゃ何もできなくって本当に怖くって怖くって仕方なくて。

涙が出そうで出なくって

「助けて。」

出ない声で今度は助けを求める。夢の中の私が馬鹿みたいで馬鹿だった。

まだ、私。生きていたい、死にたくない。利用されたくない。

小説家になりたい、書きかけを完成させたい。

太宰さんに会いたい、そばに居たい。私の物語を見せてあげたい

「太宰さん。助けて」

私から別れを切り出したのに。折角太宰さんが久々にデートに誘ってくれたのに。

私から離れたくせに

情けない、くだらない。小説みたいに、ヒロインみたいに私は助けを求めても何も現れない。

現実は残酷でだんだん暑くなってくる。奥の方が赤い。

燃やされる？私、死ぬ？死んじゃう？

どうせなら言えなかったことを、一言言わなかったことを言いたい。

「太宰さん、大好きでした。」

炎が見える。焼ける匂いがする

できることなら、昔みたいに。ただの客と店主に。彼と彼女に戻りたかった。