呪いの子、拾いました【五条悟】

特訓 ページ16

「……よしっ！」





人がいないことを確認して、植物の生い茂った場所で一人で立つ





「まずは、恵のアレかなぁ〜…」






先生がいるとなんだかんだで制限させられちゃうから、今のうちに特訓だ





とは言っても、何から始めればいいのかわからなかったので




恵が出してたあの動物みたいなやつが使えれば
　

なんて思って






「呪力は……このくらい、か」




袖で隠れていない右手を上に向け、黒いモヤを出す




恵は犬とか、蛙とか、蛇とか出せるんだよね





「じゃあ、これだ！」





よくわからないけど、僕が昔聞いたことのある妖怪をイメージしてみた




が





「…………なにこれ」






何故か変な獣が出来ました





体全体はモヤのままで黒く、目の部分だけ光っている


ただの二本の尻尾のついた獣





動かそうとしたら、




「うわっ！」





ぐっと自分の体が引かれたと思ったら、闇に溶けて消えた





「ん〜……やっぱ上手くいかない」





腕を組んで唸る




「……………なんなら、フツーにやるとか」





もう一度呪力を出し、それを細く伸ばしてみる





だんだんと曲がっていくのを想像しながらやっていくと




「わぁ、曲がった！」




弧を書くようにしてそれは曲がった





腕を少し伸ばしてみると、それは木の枝に巻き付いた





それを引き寄せてみようと思ったら





「ぅわぁあ！？」



体が宙に浮き、巻き付いていた木の枝にぶら下がる状態になった






「………はは、あはははっ！」






失敗したと思ったものが、成功につながった





その感情は







僕が呪霊になって初めて体験したものだった

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