たんぽぽの花冠 【我妻善逸】

ちゃんとやらなきゃ ページ14

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俺と伊之助が
機能回復訓練に行かなくなって
何日が経つんだろう。


最初は調子よくいってたけど
カナヲちゃんには何度挑んでも
全く歯が立たなかった。



どんどん自信を無くしていった
俺たちは機能回復訓練に行かなくなった。





『 なんでかなぁ 』





努力するのは苦手です。
地道にコツコツやるのが1番しんどいです。


頑張りたい、頑張ろうと思うのに
全然うまくいかない。





俺は、俺が一番
自分のこと好きじゃない。


ちゃんとやらなきゃっていつも思うのに



怯えるし
逃げるし
泣きますし



変わりたい。
ちゃんとした人間になりたい。





『 俺って本当、ダメなやつ… 』





" チリン… "



この音…





「 何かお悩みですか？」


『 Aちゃん… 』





お悩みだけど、こんなこと言えない。

弱いやつだ
情けないやつだって思われる。

せっかくできた大切な人なのに
また、離れていく。





「 …ちゃんとやらなきゃなんて
思わなくていいと思うよ 」


『 えっ… 』


「 だって、全部ちゃんとできる人っていないもの。

私だって全然ちゃんとしてないし。

うっかりしちゃうことなんて
よくあるし、泣き虫だし 」





そうか、オーラでわかるのか。

俺が今
どんなこと考えてるのか
どんな気持ちなのか。





「 何かしら人は、欠けている部分がある。

その欠けている部分を 人から埋めて貰ったり、
逆に埋めたりして私たちは成り立ってる。

そのために家族や仲間、恋人っていう
存在があるんだよ。



だから、



泣いてもいい
逃げてもいいんだよ、善逸くん。
ただ、諦めなければいいの 」


『 えっ… 』





" 泣いてもいい。逃げてもいい。ただ諦めるな！"





その言葉は、じいちゃんが言っていた言葉と同じだった。





「 もう無理だと諦める人は弱い。

自分を、仲間を信じて戦うの。

自分を信じることってすごく難しいけど、
仲間を信じることはできる。

そうすれば、きっと仲間も
自分のことを信じてくれる。

善逸くんは弱くないよ。大丈夫。


私は、善逸くんを信じてる 」



『 Aちゃん… 』





すると、Aちゃんの暖かい手が俺の頬を包む。





「 善逸くんは善逸くんなんだから。

他に代わりはいないよ。
優しくて強い善逸くんなら大丈夫。

私はそんな善逸くんが好きだよ 」





チリン…





なんだか心が
とても軽くなったような気がした。





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