絆よりも大きくて重いもの ページ32
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広く、美しい宇宙。
それをある宇宙船の窓から見つめる男が二人。
『 次は地球にお仕事ですか?』
『 あぁ、お前は何度も行っているだろう。
地球とやらはどんな所だ 』
一人の男は表情を変えぬまま問う。
もう一人の男は、その質問に目を糸目にして笑った。
『 んー、悪くないですヨ。
______ 俺の相棒がいるんで 』
『 何っ…!? どういう事だ!』
ニコリと笑う男の言葉に過剰に反応する。
『 そのまんまの意味ですヨ。
今、彼女は地球の江戸にいる 』
『 江戸とはどこにある!』
食い気味で問われても、
サーモンピンクの髪色の男は全く動じない。
『 それは自分で探したらどうですか?
大事な娘、デショ?』
『 っ… 』
『 それとも、何かやましい事があって会いづらい…トカ?』
『 貴様っ… 』
年下におちょくられ、男は青筋を立てた。
『 冗談ですヨ。
あの頃の腕も変わらず落ちていないようで、
" 真選組 " という組織である異名で呼ばれているみたいで 』
『 鬼兎…ではないのか?』
『 " 半夜兎の舞姫 "
戦う姿が舞うように美しい、からだそうです。
鬼兵隊総督まで目を付けるほど、
いい女になってますヨ 』
そう言う男は、愛おしそうな表情で宇宙を見つめた。
『 真選組…とはなんだ 』
『 幕府の犬と呼ばれている、
悪党を取り締まるお巡りさんです 』
『 要するに…俺たちの敵ってことか 』
『 まぁ、そんなとこ 』
宇宙を見つめる二人の表情は、
まるで同じもので。
" 早く会いたい " とでも言うかのようだった。
『 …お前は会ったのか 』
『 ええ、もちろん。
初めて地球に行った理由は、任務ではなく
彼女に会うためだからネ 』
『 離れても " 鬼兎 " の絆は壊れないってか。
______ 神威 』
サーモンピンクの髪色の男は
くるっと向きを変え、歩き出した。
『 絆なんてものよりもっと…
もっと大きくて、重いものだヨ 』
そう言い残し、部屋を出て行った。
『 マセガキが… 』
誰もを笑顔にさせる、
舞姫の笑顔が消えるまで…あと少し。
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迷い猫 - "里ゴリラ"のところ" 店長ォォになっていますヨ (2021年9月21日 18時) (レス) @page43 id: 0f483562a2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽちゃ - 初めまして!めちゃくちゃ内容大好きです!キュンキュンしちゃいました笑笑これからも応援してます!この小説にあえて良かったです! (2021年7月31日 22時) (レス) id: fffe7db0be (このIDを非表示/違反報告)
mini(プロフ) - 金平糖さん» ありがとうございます!!すごく嬉しいです(T_T)!更新頑張りますね!これからもよろしくお願いします! (2021年1月8日 7時) (レス) id: 61e392b41e (このIDを非表示/違反報告)
金平糖 - 最高に面白かったです!夢主ちゃん編も、すごく楽しませてもらってます!お父さんがまさか生きてたなんて!?びっくりしましたけど、最高の展開です...!毎回、更新楽しみにしています!!どうかお体に気をつけて下さいね!次回も面白い更新待ってます! (2021年1月7日 0時) (レス) id: a3c6f82ac9 (このIDを非表示/違反報告)
mini(プロフ) - マカロニさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!!そのお言葉だけで頑張れます!! (2020年11月17日 7時) (レス) id: 61e392b41e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini | 作成日時:2020年11月3日 21時