第七話 / 正反対 ページ8
’
しばらくして涙が止まり、ご飯も食べ終えておばあちゃんに聞いた。
『なんで、私によくしてくれるの?』
「鬼狩りの剣士様にお仕えすることは当然でございます。」
鬼狩りの剣士…キサツタイ……鬼殺隊、か
また、それだ
それに、おばあちゃんは勘違いしてる。
私は鬼殺隊なんかじゃないのにな
私は何も言えずに黙ってしまった。
嘘はつきたくない
でも、私が鬼殺隊じゃないって知ったら…どんな反応されるんだろ
そう考えると怖かった。
「お名前を、お伺いしてもよろしいでしょうか?」
相変わらず屈託のない笑顔で、今度はおばあちゃんがそう言った。
名前……もう、ずっと呼ばれることはないと思ってた。
『
「陽月様ですね」
久しぶりに呼ばれて、自分の名前じゃないような、不思議な感じがして
なんだかこそばゆいな
『ねえ、おばあちゃん。私…鬼殺隊なんかじゃないよ』
やっぱり、騙すようなことはしたくなくて、気づいたらそんなことを口にしていた。
でも、返ってきた返事は
「存じておりますよ」
と。
『じゃぁ…なんで』
「困っている方をお助けするのは人として当たり前のことです。私どもを助けてくださった鬼殺隊の方は常に、誰かのために戦っているのです。」
すごいなぁ
私とは正反対だ。
私は盗賊で、人のものを盗む。
だってそうしなきゃ生きて来れなかったから。
でも、おばあちゃんが話す鬼殺隊の人は、誰かを守って助けるすごい人。
私も…そんなふうになりたいな
『なれるかな、私も』
「不可能はありませんよ」
おばあちゃんの笑顔は、そう思えるような力がある。
『じゃあさ、色々質問してもいーい?』
「もちろんでございます。私どもに答えられることなら幾らでも」
さっきの女の人のこととか、マレチのこととか、聞きたいことばっかりだ。
何から聞こうかな
『じゃあまず、 「その前に」 …ん?』
「胡蝶様から頂いているお薬をお飲みくださいね」
今だけはおばあちゃんの笑顔が黒く見えた。
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蓮 - 初めて読みました!更新頑張ってください! (2020年2月23日 21時) (レス) id: 2cb59a0a8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろりお | 作成日時:2020年1月24日 7時