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第十六話 / 信じたい ページ17





「…あ、行っちゃったわ」

少し焦った甘露寺の声と同時に、冨岡と伊黒もAを追って地を蹴る。

それを止めたのは

「二人とも待って!!…私が行く!」

甘露寺の言葉だった。

甘露寺はどうやら少々、いやかなりAに胸がときめいてしまったようだ。

(あの子、しのぶちゃんが言ってた通りふわふわしていてとても可愛かったわ…!)

ところがそれを更に止める男が伊黒

「もしアレが鬼だったらどうするどう対処する お前に斬れるのか甘露寺」

伊黒の言葉には、悪意も、悪気も微塵もない
ただ甘露寺を心配している故のものだ。

「あの子は鬼じゃないわ!!それに…斬れるよ!!私だって…」

そう言うが早いか、甘露寺は姿が見えなくなったAを追った。

彼女が大きな声を出すのは珍しいことで、伊黒も冨岡も面食らったように固まった。

**


「…どこにいるのかしら」

私が隠れる木の下で、先程の女の人が私を探していた。

男たちはいないっぽいけど…出ていくわけには行かないよね

息を潜めて、彼女が通り過ぎるのを待っているときだった。



「カアッ!蜜璃!コッチダ!」

『うわあっ』

急に肩になにか乗ったと思ったら耳元で叫ばれた。

私こういうの弱いんだって!!心臓に悪い!!

「そこにいたのね!」

『…なんで私を追うの?』

鴉をひと睨みしてから、私は逃げるのを諦めて木から飛び下りる。

「…おや…んんっ…とある御方があなたを探してるの」

ん?おや?

なんて言おうとしたんだろう…

『理由になってないし…まーいいや。ところで、おねーさん、だれ?』

「わ、私…?私は…甘露寺蜜璃。あなたは?私たち、さっき名前、間違えてたのかしら」

蜜璃ちゃん

すんごい可愛い名前だなぁ
名前までふわふわしてて可憐ってもう最強すぎる…



『私は陽月A。陽月(ひづき)って呼ばれるの、好きじゃないんだ』


「そうだったのね…ごめんなさい…。Aちゃんって呼んでもいいかしら!」

『…もちろん!』

一瞬、嫌な、記憶が頭をよぎった。


ーー「お前は忌み子だ気持ち悪い…」
ーー「疫病神め…二度とこの村に足を踏み入れるな!!」


私は…分かってる。

人間はすぐに変わってしまうから。

今まで訪れた村や町の人たちもみんな初めは優しかった。
でも一月経てば暴言を吐かれ
更に一月経てば暴力を振るわれた。


だけど、信じたいと言う私がいる

だから私は今日も笑うんだ

ありのままの私を受け入れてくれる人を探すために

第十七話 / 逃亡劇の始まり→←第十五話 / 強者の匂い



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- 初めて読みました!更新頑張ってください! (2020年2月23日 21時) (レス) id: 2cb59a0a8f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ろりお | 作成日時:2020年1月24日 7時

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