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みっくんと紅葉を見に行った日の夜遅く、藤ヶ谷さんからLINEが来た。

…しまった。LINEのこと忘れてた。

内容は見たくないのに画面に表示されてしまい、目に入ってしまう。

《Aちゃんに会いたい》

その一文だけで、引き戻されそうになる。

そっと携帯をタップして、藤ヶ谷さんをブロックした。

しばらく画面を凝視してたけど、電話はかかってこない。

…終わった?

これでもう断ち切れた。

呆気なかった。

なんだ、こんな簡単に終わらせれるんじゃん、私…。

営業でお店には来るだろうけど、藤ヶ谷さんの性格上、仕事中に何か言ってきたりはしなさそうだし。

ベランダを見つめた。

…もうあそこで電話することはない。

さよなら、藤ヶ谷さん。

さよなら、最低な私。

ベランダの窓に映る悲しげな自分の顔を見たくなくて、カーテンを閉めた。



藤ヶ谷さんから連絡はないまま12月になり、お店は年末に向けて慌ただしくなってきた。

「疲れたね、小野さん…」

「そぉですね…でもこの先ラッピング地獄が待ってますよ」

そうなの。12月はクリスマスがあるから絵本のラッピングがとにかく多い。児童書の売上が上がるから嬉しい時期ではあるんだけどね。

「最近北山さんと玉森くん、全然話さないですね」

…だって、玉森くんと話すとどうしても藤ヶ谷さんが頭をよぎる。

だから私は玉森くんと必要最低限の会話をする以外はほぼシカト状態だった。

「お先に失礼します」

仕事を終えて車に乗ると、いきなり助手席のドアが開いて玉森くんが乗り込んできた。

「えっ?!」

ドアを閉めて私を睨む玉森くんに怯む。

「…ムカつくんだけど」

「何?いきなり…」

「それはこっちのセリフ。何でいきなり俺のことめちゃめちゃ避けるようになったの」

感じ悪いよ、って言って玉森くんが近づいてきたから運転席のドアのほうへ身体を動かし距離を取った。

「藤ヶ谷さんに何か言われたの?俺と話すなとか」

何それ。

「…藤ヶ谷さんとはもう別れた」

「え…」

玉森くんの眉間の皺が消えて安堵した。

「もう、関係ないの。藤ヶ谷さんとは…」

「…ふぅん、なら良かった。でもなら何で俺のこと避けるわけ?」

「ふぅん、って。もっと慰めてよ。泣く泣く諦めたんだから」

「…ん、いいよ。じゃあ来て?Aさん」

両手を広げる玉森くんに驚いた。

ていうか名前で呼んだ?!

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ayachoko(プロフ) - ゆいゆいさん» ゆいゆいさん(*^^*)お忙しいのに貴重なお時間で読んでくださり感謝の気持ちでいっぱいです(T-T)更新のペースが早くて大変だと思いますのでゆっくり読んでいただければと思います(。>д<)ビジネスホテル、アレがないですもんね(笑)でもいかにも不倫っぽい場所かも(^^; (2017年9月27日 7時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい(プロフ) - 太輔くんの主ちゃんは俺のだよっていうセリフにキュンキュンしました!!でも、一線越えたのがビジネスホテルで色々心配ですね笑 最近忙しくてお話しに追い付けていなかったりしますが、これを読むのが本当に楽しみになってます(^.^) (2017年9月27日 1時) (レス) id: 1462413259 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - sioriさん» sioriさ〜ん(*≧∀≦*)お忙しい中来て下さりありがとうございます!(*^^*)みっくんと穏やかに暮らしていけませんでした。欲に負けました、私←なりきり(笑) みっくんがいるのに贅沢すぎですよね(^^; (2017年9月24日 21時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 紀輔さん» 紀輔さ〜ん(*≧∀≦*)んふふ、私BLは藤北だけは読んでるのです…( 〃▽〃)紀輔さんの文、すごく読みやすくて羨ましいです(T-T)北藤のプレゼントのお話、にやけました〜( 〃▽〃)攻めのみっくん、最高でした( 〃▽〃) (2017年9月24日 21時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - ピンクマカロンさん» そして、『あの夜君に抱かれたら』の藤ヶ谷さんですが、なんであんなに甘くてえろい藤ヶ谷さんが書けるんですかっ!もうドストライクでニヤニヤしちゃいました( 〃▽〃)更新、楽しみにしています!コメント見ると他の方も待ってるみたいですしねっ(*≧∀≦*)←圧力(笑) (2017年9月24日 21時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ayachoko | 作成日時:2017年9月12日 20時

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