いい人ヤンデレ×宮田俊哉 ページ13
宮田さんがいる日はいないと思っていたけれど、実は宮田さんがそのストーカー張本人だから、いなかったのではないか。
「ひっ」
そのことに気がついて、急に隣にいる彼のことが怖くなった。
「え、何？どうかしたの？」
いつもは癒しだと思っていた満面の笑みが今はただひたすら怖い。
「あ、あの、そろそろ」
何とか適当に言って早く帰ってもらおう。
｢そろそろ…か。うん、そうだね｣
｢え、｣
｢いや、僕達さ、そろそろ付き合ってもいいんじゃないなって｣
｢へ…｣
宮田さんの笑みは全く崩れていないのに、なぜかとても歪んでみえた。
｢君は僕のお姫様で、僕は君の王子様だから｣
じりじりと近寄ってくるから後退りをする。
身体ががくがく震える。
宮田さんは当たり前のように私を抱きしめた。
気持ち悪い。
触らないで。
鳥肌がたつほど嫌なのに、でも力は入らなくて、されるがままの私。
｢すごい真っ青な顔してるよ？大丈夫かなぁ｣
可笑しそうに私の顔を覗き込んでくる宮田さん。
｢気持ち、悪いです…｣
｢えー？何だよそれ。傷ついちゃうなぁー｣
嫌悪感か湧き上がり、苦しさから汗が湧き出てくる。
｢助けて…、｣
肩で息をしながらそう言うと、
｢大丈夫、すぐ楽になるよ｣
と宮田さんは歪に微笑む。
｢気持ちいいことたくさんしてあげるから、すぐに最っ高な気分にさせてあげるね｣
宮田さんに朝まで抱き潰され、恐怖心を植え付けられてしまった私は、完全に男の人が無理になってしまった。
今思えば、これも彼の作戦だったのかもしれない。
身体的にも精神的にも支配されてしまった私は、もうすでに宮田さんの都合のいいお姫様だった。
好きな時に、好きなようにできる、奴隷のようなお姫様。
「じゃあお仕事行ってくるね、お利口さんで待ってるんだぞー」
一度は宮田さんの部屋から逃げ出したこともあった。
けど、誰にも助けを求められず、あっという間に彼に掴まってしまい、キツイお仕置を受けた。
「行ってらっしゃい……」
心を殺してここにいるほうが、余程安全な気がした。
一番恐ろしい宮田さんから逃げ出さなければ、私は死にそうになることもない。
今日も私は彼の帰りを待ち続ける。
帰宅後に散々愛されることに、怯えながら。
END
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作者名：ayachoko
| 作成日時：2023年5月9日 21時
