ぼくたちの失敗

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今日は日曜日。

午後から藤ヶ谷家のお茶会に呼ばれているんだけど、緊張するな…。

準備をしていると、携帯が鳴った。

着信相手は浩輔さんだった。

そうだ、連絡先を交換したんだった。

すっかり忘れていた。

「…もしもし」

『もしもーし、俺』

声はとても似ているけど、話し方は太輔先生と真逆だ。

『花、買ったんだけどさ、どこで渡す〜？まさか家で渡すわけにはいかないじゃん』

そうだった、お花！

「あっ、すみません…。あの、私取りに行きます！今どこですか？」

『駅のそばの風花っつー花屋』

「すぐ行きますね！」

『んじゃ隣のカフェで待ってるわ』

「わかりました」

駅に着き、指定されたカフェに入ると浩輔さんがいた。

「お待たせしてすみません」

「大して待ってないよ。座って」

ほんとは代金を渡したらすぐ帰ろうと思っていたけれど、促されて仕方なく座った。

「花束にしようかと思ったんだけどさ、鉢植えにした。そのほうが長く楽しめるし」

「すみません、ありがとうございます」

お花代を払おうとしたけど、勝手に選んだだけだからと断られてしまった。

「結構可愛い花でしょ」

「はい…白くて可愛らしくて、奥様のイメージにピッタリですね」

私がそう言うと何がおかしいのか大笑いする浩輔さん。

「それ、渡す時に言ってあげたら？すげぇ喜ぶよ」

「え、あ、はい…」

そんなこと言えるかな…。

「母さんの為に選んだって、母さんを想って決めたって言ってよ」

その言葉に曖昧に微笑み、頷くと浩輔さんもニヤリと笑った。

「Aちゃんが来週からうちに来るなら俺も頻繁に顔出そっかな」

…何で？

「ほら、色々不安だろうしなんかあったら聞いてくれたらいいよ」

「…大丈夫です」

「いやいや、大丈夫じゃないっしょ。危なっかしいんだよな〜、キミ」

よく言われない？と聞き、コーヒーを口にする浩輔さん。

そう言えば、二階堂さんには飲み会の時手伝うからと言われたし、横尾さんにも何かあれば相談してくれと言われた。

「ちょっと困ったような顔してればいつも周りの男が助けてくれてたんじゃない？男受けするだろうね。俺はそういうタイプ無理だけど」

このいちいち突っかかってくるような言い方、何なんだろう。

「兄貴も好きそうだよな、キミみたいなの。あの人騎士ぶるの大好きなんだわ、昔っから」

「…あの、もう行ってもいいですか」

早くここから去りたくて立ち上がると腕を掴まれた。

「待ってよ、俺も行くから」

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