ひよこ #5 ページ6
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「 私と、友達になってください!! 」
鬼龍くんを助けなきゃ、って思って。
そんな人じゃないって、みんなにわかってもらいたくて。
咄嗟に出た言葉。
「 か、川崎?どうしたんだいきなり 」
守沢くんが困惑したように私を見る。
守沢くんだけじゃない。
多分、ここにいる全員が私の言った意味を
理解してないと思う。
だって、私もわからないから。
「 ...あの、入学初日の私に、言われたくない
と思います、けど 」
ああ、わたし今、すごい目立ってる。
そんな可愛くないし、明るくないから、
見られたくないのだけど。
「 き、鬼龍くんはすごく、良い人です。
購買に行こうとした私に、パンをくれました。
だ、だから、良い人、なんです 」
大きな身体がひしめく中、私がそう言うと
その場は静まり返る。
...なんか、気まずい。
「 ...それぐらいで良い人って言わないだろ 」
ポツリ、とクラスメイトが呟く。
だよなぁ、と他の人たちも同意した。
「 ....ち、小さいことかも、しれないけど。
私はっ、鬼龍くんは、やってないと、
思います! 」
話の張本人の鬼龍くんは、困惑したように
私を見つめた。
___ほら、良い人。
根拠なんてないけど、あの顔は優しい人の顔だ。
おばあちゃんが言ってた。
“優しい人は優しい顔をしている”って。
「 あっ、あった!俺の財布! 」
ふいに、財布をなくした人の声がした。
ていうか、見つかったの?
「 バッグの底に入ってたわ!
迷惑かけてすまん! 」
思いがけない答えに、私だけでなく、その場にいた全員が唖然とした。
お前マジかよ、と。
これだけ騒がしといて、こんなのってアリ
だろうか。
私の前にいたクラスメイトが頭をかいた。
「 ...鬼龍、悪かった。川崎も 」
照れているのか、罪悪感なのか。
その子は背中を向けると教室に入っていった。
周りにいた人たちも、ぞろぞろと帰っていく。
廊下に取り残されたのは、私と守沢くん、
そして鬼龍くんだった。
「 よかったな、鬼龍!疑いがさめて! 」
「 ああ。妙なことにまきこまれちまった 」
2人がそう会話しているのを聞いて、わたしは
全身の力が抜け、その場に座り込んでしまった。
「 川崎!?大丈夫か? 」
「 ...よかった 」
安堵の溜息をつくと、鬼龍くんが漢らしく
笑った。
「 ありがとな 」
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あるみかん(プロフ) - 優樹菜さん» うわああああ!申し訳ございません、前回他の方にも注意して頂いていたのに…すぐに紅郎に修正いたします! (2017年11月26日 20時) (レス) id: 3df0130dff (このIDを非表示/違反報告)
優樹菜 - #30話で気づいたのですが、鬼龍のしたの名前は、九郎ではなく、紅朗ですよ!(たしか)これからも更新楽しみにしてます! (2017年11月26日 8時) (レス) id: 662403215f (このIDを非表示/違反報告)
あるみかん(プロフ) - p−−さん» ありがとうございます!楽しんでいただけてとても嬉しいです!頑張って更新するので、待っててくれると嬉しいです! (2017年11月23日 21時) (レス) id: 3df0130dff (このIDを非表示/違反報告)
たまたま(プロフ) - 初コメ失礼します!とっっっっても面白い!です!笑一気に読んじゃいましたwもう、続きが楽しみすぎてヤバいです!これからも更新頑張ってください*\(^o^)/* (2017年11月23日 20時) (レス) id: 0907e86698 (このIDを非表示/違反報告)
p−−(プロフ) - ですね! (2017年11月6日 21時) (レス) id: 3280412425 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*かるぴす* | 作成日時:2017年8月24日 11時