アイヌのいろは[弐] ページ46
＜尾形目線＞
｢お、尾形…お前本当に、東谷と、その……あれ〜、なのか？｣
杉元がウゼぇ。真っ赤な大嘘なのだが、あまりにもこんな風に確認されるのは正直面倒極まりない。
因みに、もう一回Aに殴られそうになったが、流石に痛いので抑えておく。止めてくれよな、本当に。牛山は牛山で変な視線を向けてくるし、こいつら本当に大丈夫かよ…。
さて、取り敢えず偽村長さんへ追い討ちをかけるとしよう。
｢おや、もしかして分からんのか？｣
｢あっ、いや………おっと、弟が帰って来たようだ。貴方達のお連れの娘が居ない理由を聞こう、そうしよう。｣
話を長引かせても意味はないと思うが……っ、待て、こいつ今、連れの娘が居ない理由をって言ったか？
俺は帰ってきた偽村長の弟(と言う設定だろう人物)を振り替えって見てみれば、確かにアシリパが居なかった。
こいつらは偽物の村人、つまり、十中八九、連れ去られたに違いない。不味いな…。
｢アシリパさんはどこへ？｣
｢成程、その娘なら、チセの女達と一緒に刺繍をしているらしい｣
｢あ゛？｣
あーあ、ざまァねぇなァ。
こいつらは踏んではならない奴の地雷を踏みやがった。
｢アシリパさんが 刺繍 だと？｣
｢お前ら、アシリパさんを何処へやったァ！！？｣
偽村長の弟を杉元が殴り飛ばし、アシリパの居場所を問い質そうとしている。馬鹿か？殴って気ィ落ちてんのに聞ける筈ないだろ……っと、偽村長が銃を持とうとしてるじゃねぇか。
世話が焼ける一等卒だ。
───── ｼｭﾊﾟｧﾝｯ!!
銃声が一つ響けば、偽村長の手に風穴が一つ。
｢ははっ、アイヌ語で命乞いはどう言うんだ？｣
｢なぁ、エクロク助さんよォ…｣
｢……く、っそ！！｣
｢杉元！！銃から目ェ離すなっ！｣
どうやら命乞いも知らんらしいな。ははっ、アイヌになりきるなら、もう少ししっかりして欲しいもんだ。
そういやAは何処へ……？
＜東谷目線＞
やっっってられるか！！！
どうしてご飯が食べられると思ったのに、いつの間にか暴れているのだろうか、この野郎共は！私の腹が限界なのに気付いていないのかしら？
はぁー、と大きな溜め息を吐いていると、小屋の入り口から増援らしき男が入ってきて、一人私に襲い掛かってきたので、その勢いを殺さず受け流し、男の足に左足を絡めて足を払えば背後を取れたので首筋を掴んで押し倒す。
背中に乗っかり、腕をキツく締め上げて間接をキメれば、男からの降参が上がる。雑魚め！
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作者名：文揚げ | 作成日時：2021年10月4日 17時
