脱出 105 ページ8
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早「屋上だ!屋上の扉がお前らの世界へ続く道になってる!」
笠「お前ら早く行くぞ!」
次々と部屋を出る中、私は立ち止まり振り返った。
貴『もう成仏できないんですか?』
早「成仏はいつでも出来る。でも俺が消えたらそれこそ空間が完璧に崩壊して、お前をここに閉じ込めることになるからな。さっさと行け」
もう何も恨むことも悔しがることもない晴れ晴れとした顔をしていた。
貴『私、ここを出たら貴方の墓参りに行こうと思います』
早「それは嬉しいな。供えモンは蜜柑でよろしく。俺の好物だ」
供え物を要求される墓参りなんてしたことがない。
それがおかしくて笑ってしまう。
貴『分かりました。…藤森先生に伝言は?』
早「そうだな…。じゃあ伝えてくれ。
________________ 」
伝言を聞いて少し鼻がツンときた。
また泣きそうだ。
貴『私…この日記の通り、先生と弘人君と早瀬さんと私の4人で話して見たかった…』
早「…俺もだよ」
少し悲しそうに笑った。
私は深く頭を下げて部屋を出た。
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揺れを感じながら私達は必死に走る。
6階で待ってるみんなに屋上へ行くように伝えなくてはならないし、何より時間がない。
途中で化け物を見たが、襲ってくることなく足元からさらさらと塵のように消えていった。
道行く途中も所々崩れ始めていて、空いた隙間からは化け物と同じようにさらさらと塵となって消えている。
高「これ緊張感ありますね!」
笠「喋ってねぇで走れ!」
福「チビ!ちゃんといるか!?」
花「俺が着いてんだからいるに決まってんだろバァカ!」
福「花宮!俺先輩だぞ!」
花「そんな小さな人を先輩とは思いたくありませんね」
福「なんでそこは敬語なんだよ!!つか小さいってなんだコラ」
貴『目の前で喧嘩しないでください!』
こっちは必死で走っているのになんなんだ。
もう少し文句を言おうとした時、突然足元が大きく揺れた。
貴『ひゃぁ!』
バランスを崩してしまい転倒する。
花「A!」
顔を上げると私の前の道には大きな亀裂があり、前に進めそうになかった。
亀裂部分の縁からはさっき見た空間の隙間や化け物のようにさらさらと塵となって消えていて、どんどん亀裂が大きくなっている。
亀裂の先には真達がいて心配そうに私を見ていた。
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サイガ(プロフ) - しょうどうぶつさん» コメントありがとうございます!いい話って言ってもらえて励みになりますね!ありがとうございます!!(^^) (2018年8月27日 6時) (レス) id: 19e5edb018 (このIDを非表示/違反報告)
しょうどうぶつ - ホラー怖いけどすげーいい話で涙が....( ; ー ; ) (2018年8月27日 0時) (レス) id: 4dcfc1ef4e (このIDを非表示/違反報告)
サイガ(プロフ) - 結愛さん» ありがとうございます!中身が福山さんって考えてください笑笑興奮します笑笑 (2018年1月19日 20時) (レス) id: 19e5edb018 (このIDを非表示/違反報告)
結愛 - え、感動です!!!!本当に!なんか花宮今まででちょっと苦手だったんですけどこの小説を読んで好きになりました!! (2018年1月18日 20時) (レス) id: 1370f18119 (このIDを非表示/違反報告)
サイガ(プロフ) - 俺ツボサァンさん» 泣いてくれて良かったです!^ ^読んでいただきありがとうございます! (2017年2月15日 7時) (レス) id: 19e5edb018 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サイガ | 作成日時:2014年4月29日 13時